2024年11月7日

ネットやゲーム内での罵詈雑言、罪に問える? 

こんにちは。株式会社マモル代表のくまゆうこです。

子どものオンラインゲームの利用が当たり前になりつつあります。友達と協力しながら楽しめる一方で、課金トラブルや知らない人との接触など、思わぬリスクも。保護者として、どこまで関わるべきか、悩む方も多いのではないでしょうか。

下記記事では、オンラインゲームやネットトラブルの実例や法的責任、被害に遭った際の対処法について弁護士の方に監修いただいたのでご紹介します。

ネットやゲーム内での罵詈雑言、罪に問える?

SNSやゲームの普及により、ネット上で誹謗中傷を受ける事案が増加しています。それに伴い、2021年10月には侮辱罪の刑罰に禁固刑と罰金が加わった刑法の改正案が提出されました。

ネットやゲーム内で誹謗中傷を受けた場合、どのような対処法を取れば良いのかも解説いたします。

ネットやゲームの誹謗中傷は罪に問える?

誹謗中傷を受けたとしても、直ちに罪に問えるわけではありません。

例えば、「死ね」と言われても、それだけで誹謗中傷と認められるわけではありません。

1つのワードというよりも、継続的に中傷が続いている、といえるような「継続的な誹謗中傷」が続いているか否かが、刑事事件として立件できるか否かのポイントです。

ネットやゲーム内における誹謗中傷を刑事事件として立件する場合、以下の4つが想定されます。

①侮辱罪

侮辱罪とは、不特定多数の人が目にするような公然の場(掲示板への書き込みなど)で“具体例を挙げないで”他人を侮辱する犯罪です。例えば、「バカ」「ブス」「きもい」など、抽象的に相手の人格を否定する行為です。

現行法では「拘留(1日以上30日未満の身体拘束)または科料(1000円以上1万円未満の支払い)」が科されます。

②名誉毀損罪

名誉毀損罪は公然の場で“具体的な事実を挙げて他人の社会的価値を落とすような行為”を指します。

例えば、「AさんはBさんと不倫している」「Aさんは悪さをはたらいている」など具体例を挙げた書き込みがこれにあたります。

現行法では「3年以下の懲役もしくは禁錮または50万円以下の罰金」が科されます。

③脅迫罪

相手の生命、身体、自由、名誉または財産に対して害を加える旨を告知することです。

例えば、「〇〇しなければ殺すぞ」「殴るぞ」などの脅す内容があった場合は脅迫罪にあたります。

現行法では「2年以下の懲役または30万円以下の罰金」が科されます。

④強要罪

脅迫罪にあたるような行為(「殺すぞ」「殴るぞ」など)や暴行を用いて人に義務のないことを行わせたり、権利の行使を妨害したりした場合が当てはまります。

現行法では「3年以下の懲役」が科されます。

・注意点①

この4つのうち、侮辱罪と名誉毀損罪は親告罪です。

親告罪とは、被害者の告訴が無ければ検察官は被疑者を起訴できないというものです。

そして、親告罪の被害者が告訴できるのは「犯人を知った日から6か月以内」と定められています。そのため、6か月を過ぎてしまうと被害の事実があっても告訴できないのです。

しかし、ゲームやインターネット上の誹謗中傷の場合はネット上に載っている間は犯罪が続いているとカウントされ、その間は告訴期間が継続していると考えられます。

過去の書き込みが残っていたり長期間にわたって誹謗中傷されたりした場合は、継続的な行為であると判断される可能性があります。

・注意点②

侮辱罪や名誉毀損罪では誹謗中傷行為に「公然性」があることが求められます。

例えば、メールやSNSのDM、ゲーム内のプライベートチャットなど、受け取った被害者しか見られない場所は公然性を欠くと判断される可能性があるのです。

しかし、その内容によっては脅迫罪にあたる場合もあり、個々の状況に応じて異なります。

・刑法改正による改正点

侮辱罪は、現行法では「拘留または科料」でしたが、2021年に「1年以下の懲役若しくは禁錮又は30万円以下の罰金又は拘留若しくは科料」へと厳罰化する改正案が提出されました。

ネットで誹謗中傷を受けたらどう対処すればいい?

ネット上で誹謗中傷を受けた場合、自分がどのような対応を求めているかによって取るべき行動が変わってきます。

1.解決策について相談したい場合

解決策について相談したい場合は、以下のような相談方法があります。

・弁護士に相談する

・法テラスで相談する

・最寄りの警察署に相談する

・各都道府県警察本部のサイバー犯罪相談窓口に相談する

・都道府県や市区町村の相談窓口に相談する

・自治体主催の法律相談会で相談する

無料で相談したい場合は、警察署や自治体の相談窓口がおすすめです。例えば東京都では『東京都人権プラザ一般相談』を設けています。

また、相談料はかかりますが弁護士に相談する方法もあります。初回相談料が無料の場合もあるため、近くに無料相談を行っている法律事務所があるかどうか調べてみましょう。

自治体主催の法律相談会で弁護士相談する方法もありますが、仕事の依頼や問題の解決の依頼まではできないことがあります。

2.自分で書き込みの削除など行う場合

弁護士や警察などを間に挟まず、自力で解決する場合は以下のような相談窓口があります。

・人権相談(法務省)

自分で削除依頼する際のアドバイスを受けられたり、法務局がネットのプロバイダーに対して削除などの要請を行ったりします。

・違法・有害情報相談センター(総務省)

削除依頼の方法のアドバイスを受けられるほか、ネットの知識のある相談員への相談ができます。

・誹謗中傷ホットライン(セーファーインターネット協会)

ネットの誹謗中傷に対して、各サイトの利用規約に従って削除などの要請を行ってくれます。

記事監修

さいたまシティ法律事務所

弁護士  荒生祐樹

※この記事は2022年に監修いただいたものです。

 

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