2025年4月7日

SNSに好きな漫画の画像を載せるのは違法?正しい転載方法とは?

こんにちは。株式会社マモル代表のくまゆうこです。

お気に入りの漫画の名シーン、感動のラスト、思わずシェアしたくなるあのコマ。SNSにアップしたくなる気持ちはよくわかります。でも、ちょっと待ってください。その投稿、実は著作権侵害かもしれません。知らずに違法行為をしてしまう前に、知っておきたい「正しい転載のルール」。以下記事にて、漫画画像の取り扱いについて、気をつけたいポイントを、弁護士の方に監修いただき、わかりやすく解説します!

SNSに好きな漫画の画像を載せるのは違法?正しい転載方法とは?

Q.大好きな漫画の1シーンを見てもらいたく、SNS上で画像を投稿したいのですが、リスクはありますか?

A. 漫画は著作物とされており、作者に著作権があるため、SNSへ無断で転載すると著作権侵害となり、刑事上・民事上の責任が生じるおそれがあります。

ただし、掲載の仕方によっては著作権侵害とならないこともあるため、適切な掲載方法を用いれば、投稿することが可能です。

SNSへ漫画を無断転載するのは違法?著作権侵害とは

創作物である漫画は、「著作物」であるため、作品が創作された時点から作者に著作権が発生します。

そのため、著作権が著作権法上保護の対象となる限りは、SNSへ無断で転載してしまうと原則として著作権侵害となるのです。

ただし、漫画の1コマについて、著作権法上許容されている「引用」の範囲内で転載をすることは、作者の許可がなくても可能とされており、著作権侵害にあたりません。

著作権法上許容されている「引用」とは、以下を充たす転載方法とされています。

上記に従って転載をした場合は、著作権者の許可がなくとも、引用として著作権侵害とはなりません。

上記のうち、主従関係の明確性については、例えば、漫画を1コマ転載するのに対して数百文字の考察文を掲載した場合は主従関係が明確と言えますが、特段の考察文等の掲載なく単に漫画を転載した場合は主従関係が不明確であり、適法な「引用」とは言えません。

著作権の侵害があった場合、著作権者は、侵害者に対し、権利侵害の差止請求や損害賠償請求、不当利得返還請求、名誉回復等の措置(謝罪広告の掲載等)請求をすることができるとされています。

また、著作権法上、著作権侵害の罰則は原則として10年以下の懲役もしくは1,000万円以下の罰金またはその両方とされていますので、著作権者等が告訴をすることにより、刑事処罰が科される可能性があります。

漫画以外の著作物の転載が著作権侵害となるケースは?

著作権は、作者の思想や感情が表現された全ての創作物に生じるとされています。

具体的には、漫画だけではなく、小説、論文、講演、音楽、舞踊、絵画、彫刻、建築物、地図、映画、テレビ番組、写真、コンピュータ・プログラムなどに生じます。

作者がプロであるかアマチュアであるかは関係ありません。

そのため、漫画以外の著作物も漫画と同様、無断でSNSへ転載をしてしまうと権利侵害となってしまう可能性があります。

例えば、最近は、SNS上で、バラエティ番組やドラマなどのテレビ番組の映像のシーンキャプチャを単に掲載する行為がよく見受けられますが、これらは著作権侵害行為である可能性が高いと言えるでしょう。

著作権法上許容されている「引用」にあたる場合は著作権侵害に該当することはありませんが、引用の範囲が不適切であったり、引用元を掲載していなかったり、引用部分とそれ以外の部分の主従関係が不明確であったりする場合は、適法な「引用」とは見なされず、権利侵害となります。

著作権侵害にあたる行為であったとしても、悪質なケースを除き、製作側がつぶさに摘発をすることはしていないため、事実上、SNS上ではこのような行為が横行してしまっているのです。

ただし、近年、SNSでは著作権の侵害の申立てをすることができる場合が多く、運営元が即座に対応することによって、投稿を削除したり、投稿者のアカウントを停止させたりすることもあります。

違法なキャプチャの公開が横行しているからといって、安易にこれを行うことは避けましょう。

著作権は、創作物を無断利用から守るための権利であり、創作活動の発展のために、創作活動へのインセンティブを確保するものですので、他人の著作物を取り扱うにはさまざまな制約が設けられています。

作品を保護し、作者に対するリスペクトを持つという意味でも、著作権法上のルールを守って作品を楽しむことを心がけるようにしましょう。

記事監修

石井法律事務所

弁護士 稲垣 司

※この記事は2022年に監修いただいたものです。

 

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