2025年1月21日

若者に人気のゲーム実況!法的なリスクがあるって本当?

こんにちは。株式会社マモル代表のくまゆうこです。

子どもから大人まで夢中になる“ゲーム実況”。お気に入りの実況者のプレイを観るのが日課、という若者も多い中、「実は違法の可能性もある」なんて話、聞いたことありますか?最近、大手ゲーム会社が無断配信に対して法的措置をとったというニュースが飛び込み、ネットでは「うちの子が投稿してる動画もヤバい!?」と保護者の間でもざわつき始めています。
人気の裏に潜む“実況の落とし穴”、知らなきゃマズい法的リスクについて、わかりやすく解説します!

若者に人気のゲーム実況!法的なリスクがあるって本当?

Q. YouTubeなどでよく見るゲーム実況は、法的に問題ないのでしょうか?

A. ゲームは著作物とされており、制作会社が著作権を有しているため、無断で配信等に使用すれば著作権侵害となります。

ただし、制作会社によっては、ゲーム実況を投稿することを認めていることも多いため、制作会社が包括的またはゲームのタイトルごとに策定しているガイドラインを遵守すれば、ゲーム実況を投稿することも可能です。

ゲーム実況をしていいかどうかは制作会社のガイドラインに記載されている

ゲーム実況とは、実際にゲームをしている画面を動画で撮影し、これを配信することで、ゲームの魅力や感想を共有したり、ゲームの攻略方法やコツなどについて解説をしたり、ゲームをクリアしていく様子を見せたりすることで視聴者を楽しませるインターネット・コンテンツのことです。

ゲームは、制作会社の思想や感情を表現した創作物であるため、著作物に該当し、著作権法上の保護対象となります。

そのため、ゲーム実況のように、ゲームのプレイ状況を撮影して、これを公表するためには、原則として、権利者から必要な許諾を得ることが必要です。

しかし、近年、ゲーム実況が大きな宣伝効果を有することを背景に、ゲーム実況の配信を全面的に許諾している制作会社も少なくありません。

例えば、任天堂社は、個人に限定して、同社が策定したガイドライン(ポリシー)に従って、同社が指定したプラットフォームを用いる形であれば、ゲーム実況を配信することを全面的に許諾しており、投稿を収益化することも可能としています。

また、PlayStationなどで知られるソニー・インタラクティブエンタテインメント社は、PlayStationの「シェア機能」を活用してSNSへの投稿やライブ配信をすることを許諾しています。

ネタバレを防ぐことなどを目的に、作品の一部または全部の配信が認められていないタイトルについては、シェア機能そのものが使用できないようになっているのです。

反対に、ストーリー性が重要視されており、配信などによるネタバレによって売上に影響する可能性があると考えられている作品については、ゲーム実況に用いることが禁止されています。また、ガイドラインに反する配信方法や、公式で許諾されていないプラットフォームを使用しての配信は禁止されています。

ゲームの制作会社やタイトルごとに、ガイドラインが異なるため、ゲーム実況を行う場合は、まずは、制作会社のガイドラインを確認するようにしましょう。

配信が認められていないゲームの実況を投稿すると著作権法に違反する可能性がある

ゲーム実況の配信が許諾されているのは、制作会社が許諾した指定の作品を、指定のプラットフォームを用いて、ガイドラインに従った対応で配信する場合のみです。

ゲーム実況に用いることが認められていない作品を用いたり、指定のプラットフォームを用いずに投稿をしてしまったりする行為は、著作権法上の権利侵害行為となります。

著作権の侵害があった場合、著作権者は、侵害者に対し、権利侵害の差止請求や損害賠償請求、不当利得返還請求、名誉回復等の措置(謝罪広告の掲載等)請求をすることができるとされています。

また、著作権者等が告訴をすることにより、刑事処罰が科される可能性があります。著作権法上、著作権侵害の罰則は原則として10年以下の懲役もしくは1,000万円以下の罰金またはその両方とされています。

近年、インターネットの普及に伴い、ゲームのみならず、漫画や音楽、映画など、あらゆる業界で著作権侵害に対する取り締まりが強化されています。

著作権は、創作物を無断利用から守るための権利であり、創作活動の発展のために、創作活動へのインセンティブを確保するものです。

ルールを守らずに、「有名人もやっているから大丈夫だろう」といった安易な気持ちで違法な配信をしてしまうと、法的責任を追及される事態へと発展しかねません。

ゲーム実況を行う場合は、制作会社が定めているガイドラインをきちんと確認した上で、ルールを守るよう心がけましょう。

記事監修

石井法律事務所

弁護士 稲垣 司

※この記事は2022年に監修いただいたものです。

 

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