2019年9月9日

教育に笑いを 教育漫才子供達が変わる いじめをなくす

このテキストは、2018年11月6日にPodcast「くまゆうこの子育て初耳学」で放送された番組の書き起こし記事です。

くま:くまみなさんこんにちは。子育て初耳学パーソナリティのくまゆうこです。今日は「教育漫才で子供たちが変わる」の著書、公立埼玉越ヶ谷小学校校長田畑栄一さんに来ていただいています。教育漫才って私初めて聞いたんですけども、こういうのを小学校でやられてるっていうことで、教育漫才って、これ、漫才をやってるってことなんですかね。子どもたちが。

 

田畑校長:そうです。

 

くま:でも漫才っていじりとかいじめに繋がるっていう意見もあると思うんですけど、それは大丈夫なんですか。

 

田畑校長:そうなんです。教育漫才っていうネーミングに変えたのは、やはり漫才っていうと、どうしてもいじりであるとかいじめであるとか、マイナス的なイメージが多くて、教育の世界ではなじまないところがあったんですよ。しかしよく考えてみると、日本の中でコミュニケーション議論はあったとしても、コミュニケーション文化っていうのは、漫才が明確に言葉のやりとりで位置づくっていうふうに捉えています。あとはコントとか演劇とかあると思いますが、コミュニケーション、言葉を通しては、文化としては漫才かなというふうに捉えていますので、それしかないんじゃないかなというふうに思ったのが大きなきっかけですね。

 

くま:そうなんですね。笑う学校には福来るっていう題が入ってるんですけども、笑うって多分いろいろな笑いってあると思うんですよね。楽しい笑いとか、馬鹿にする笑いとかあると思うんですけども、先生の中でそこはなにかこだわって進められてるっていうとこあるんですか。

 

田畑校長:なので、教育漫才ってネーミングをつけた段階で、二つのことに配慮してあります。一つは、マイナス的な言葉を使わないってことです。

 

くま:マイナス的な。例えばどういう言葉。

 

田畑校長:「死ね」とか「うざい」とか「消えろ」とか、そういう学校教育の中でいじめにつながるようなものが漫才にもあるので、それは使わないってことにします。それともう一つはどついたり叩いたりとかっていうことで、暴力的なこともしないってこと。この二点を除去して指導する。これが教育漫才です。

 

くま:なるほど。だから普通の漫才っていうのは、たまにそうやってからかったりとか、ちょっとこう馬鹿にしたような笑いとかがある漫才もあると思うんですけど、この学校でやる教育漫才というのは、まずそういうルールがあって、言葉とかどつきとかはNGと、そういうことを徹底してるっていうことなんですかね。

 

田畑校長:そうなんです。

 

くま:そういうコミュニケーションというところでやってるというとこなんですよね。

 

田畑校長:はい。

 

くま:実際、どういう漫才やってるのかなって、多分、聞いてる皆さん、ちょっと今興味があると思うので、ちょっと先生やってみましょうか。

 

田畑校長:くまさん、いきなり振るんですね。

 

くま:はい(笑)。

 

田畑校長:(笑)。

 

くま:その言葉に気を付けてどつきがない漫才ってどういうのかなって思うので、じゃあ私と先生でちょっとやってみますね。先生、ボケとツッコミ、どっちがいいですか。

 

田畑校長:どちらでも。

 

くま:じゃあ私がツッコミのほうにいきたいと思います。じゃあいきますね。「ところでさ、好きな野菜ってなに?」

 

田畑校長:「うーん。トマトかな。」

 

くま:「なんで?」

 

田畑校長:「甘いから。」

 

くま:「なるほど。ほかには?」

 

田畑校長:「うーん。キャベツとか。」

 

くま:「なんで?」

 

田畑校長:「シャキシャキしてるから。」

 

くま:「なるほど。ほかには?」

 

田畑校長:「うーん。お肉とか。」

 

くま:「なんで?っていうか、お肉は野菜じゃないよ。もういいよ。」

 

二人:失礼しました。

 

くま:かわいいですね。こういう漫才を皆さんがやってるってことなんですね。

 

田畑校長:そうですね。

 

くま:これを考えるのは子どもたちでどれぐらいの時間を使って考えてるんですか。

 

田畑校長:大体5時間で学校大会まで持っていくようにしてます。

 

くま:5時間。それは1時間が5回っていうことですよね。

 

田畑校長:そうです。

 

くま:誰と誰がやるかっていうのは、好きな人と組んでいいんですか。

 

田畑校長:いや、そうじゃなくて、学級の中っていうのは、例えば30人いたとしても、意外と近くの子どもであったりとか、仲の良い子であったりとか、特定の子どもとの付き合いってのが多いんですよ。

 

くま:そうですよね。大体グループが決まってますよね。

 

田畑校長:はい。そこでくじを引くんですよ。新しい友だちを発見するってことを目指して、どんな子でも仲良くなるっていう理念を掲げてやるんですよ。

 

くま:じゃあこういうのやろうっていったときに、いつもの仲良しの友だちとかとやるんじゃなくて、あえて同じクラスだけどあんまり話したことがない子とか、そういう子と一緒になることによって、そこからなにかまた新しいお友だち関係ができたり、楽しいことができるっていうとこなんですかね。

 

田畑校長:はい。つまり学級っていうのは、みんなで仲良くしたいっていうのがあるじゃないですか。理念として。ところが具現化ってなかなか難しいんですよ。こういう一つの取り組みを通して、子どもたちに哲学や考えをきちっと伝えて、みんなで仲良くするにはどうすればいいかって考えさせて、そのためにこの教育漫才をやるよ。あるいはくじを引くよっていうことを語っていくんですよ。

 

くま:じゃあただなんかその笑いがあればいいよね。漫才やろうじゃなくて、もっともっと深いというか、テーマがあるっていうことなんですよね。

 

田畑校長:そうなんです。だから漫才をやった後とやる前だと、人間関係の広がりが全く違っていくんですよ。

 

くま:そうですよね。だから今まで話したことがなかった子とそういうコミュニケーションができたりとか、このネタを考えるってことは、結局二人でなにか一つの目標に向かっていくわけなので、そういうところで子どもたちが変わっていくっていう感じなんですかね。

 

田畑校長:すごく変わっていきます。最初コミュニケーション取れてない子ども同士も、例えば、なにが好き、なにが嫌いとかって入っていくじゃないですか。新しい面を見つけるじゃないですか。気付いていって、狙いがもう笑い、笑わせるってテーマがあるので、そちらのほうに集約していくんですよ。そしてお互いに共通了解を取りながら仲良くなって、方向性を目指していくんですよ。その過程ってすごく素晴らしいですよ。

 

くま:素晴らしいですね。

 

田畑校長:それまでにないあったかい空気が流れ始めるんですよ。

 

くま:そうですよね。例えば、このネタをやっぱり考えるときに、もちろんこういうの得意じゃない子もいると思うんですけど、そういう子たちはあれですか。やっぱり5時間の中で、最初の1時間は決まらないなっていう感じで5時間を迎えて完成するって感じなんですかね。

 

田畑校長:うん。そのためにまず先生方に漫才研修をやるんですよ。

 

くま:先生方も漫才研修をやる。

 

田畑校長:そうです。先生方に漫才の進め方を教えるんです。その基本が三段落ちという、今やった型なんですよ。例えば今だとトマトが好き、キャベツが好き。野菜でこうきますよね。そうすると、三つ目にお肉がきますよね。そうすると、ここで予想していたものと違うので、クスッていう笑いが出るわけなんですよね。

 

くま:そうか。三段落ちってやつですね。

 

田畑校長:そうなんです。その型を使って子どもたちはやるので、1年生でも、特別支援学級の子どもでも、6年生もできるんですよ。

 

くま:そっか。もう型がある程度決まってると、その三段落ちだったら同じこと、同じこと、一個違うことを言えばいいっていうのがわかるので、そこに当てはめていくとみんなできるってこと。

 

田畑校長:そうなんです。

 

くま:そうか。みんながやっぱりできるっていうことがすごく大事だと思うんですけど、そういう工夫がされてるわけなんですね。

 

田畑校長:そうです。

 

くま:この工夫というか、こういうふうにやればいいっていうのは、田畑先生のアイデアなんですか。

 

田畑校長:三段落ちは放送作家の方に教えていただきました。できるだろうっていうこと。ところが子どもは日常生活の中で、漫才文化にもう親しんでるじゃないですか。なので、型を簡単にクリアしてくるんですよ。例えば、1年生、2年生は意外とその発展バージョンを使ったりするんですけども、3年生、4年生はもう全く使わないんですよ。そして、5年生、6年生だと、もうプロの漫才師を超えるようなネタを作ってくる子たちもいるんですよ。想像力があって、超えてるんで、だから私たちは意外と、1年生だからこうだろう、2年生だからこうだろうとかっていう限界を見るとこがあるんですけども、子どもの発想とか豊かさっていうのは、そういうのを簡単に超えてくるんですよね。限界を作っちゃいけないってことを、私この漫才教室を通して感じたところですね。

 

くま:そうですね。なんか確かに、例えば子育てとかしてると、親御さんは、例えば、子ども、1年だからこういうのわからないかなとか、そういうふうに思って言わないこととかもあると思うんですけど、これは想像を超えてどんどん子どもたちの可能性も見えてくるって感じなんですね。

 

田畑校長:そうなんです。想像力がすごく膨らんでくと思います。

 

くま:そうですよね。漫才考えるって想像力ないとできないですもんね。

 

田畑校長:はい。

 

くま:先生はこれを元々なんで教育漫才やろうかなって、漫才お好きなんですか

 

田畑校長:いや。とくにそういう…好きです(笑)。

 

くま:(笑)。

 

田畑校長:あったんですけど、必要性があってやり始めたってとこが大きいんですけれども、まず前任校で3年目からスタートしました。そのときにそれまでは算数だったんですけども、3年目から国語やりたいってことで、研修支援から相談があって、テーマは伝え合う力でやりたいって話になって、それいいよねって話をして、元々学び合いってことで、子どもたちが全員が発表して、全員が理解する。そういうみんなで作り上げるような授業を目指していたんですよ。それをタイアップして伝え合う力だから、合致していいよねって話をしていました。じゃあそれ進めようってことで、ある1月の冬の日ですね。ある親子が学校訪ねてきたんですよね。たまたま私、けん玉を教える、昔の遊びを教えることで1年生のフロアにいたときに、お母さまが来られて、教頭先生をご紹介したんですけども、田畑校長とお話したいってことを言われて、これちょっと深刻かなとかって思って会ったら、前任校で今小学校1年生なんだけども不登校になってると。

 

くま:1年生でもう、1年生で不登校っていうことは、じゃあもう入学してすぐ不登校になっちゃったってことですよね。

 

田畑校長:そうです。11月ぐらいから不登校になってて、5月にクラスを変えられたっていうんですよ。

 

くま:変えられたってどういうことなんですか。

 

田畑校長:よくわかりません。詳しくは聞いてないんですけども、1組から2組、2組から3組とかっていう形で、そういうことってやっていいのかなって考えて、私の中でそれに対する疑問とか、怒りみたいなものがすごく沸きあがってきて、私の目の前でその親御さんが泣くわけですよ。そういうことに対して、公教育のあり方としていかがなものかなと思ってて、うちでじゃあ来たらどうですかっていうことで、明日から来なさいって話をして、体験入学っていう形で、相手校の田畑校長と、それからセンターのほうにも連絡をして、許可を得て本校のほうに通い始めたってところで、4月から転籍をしたっていう経緯があります。そういう中で、この親子を笑わせたいな。笑顔にしたいなって思いがすごく沸きあがってきて、そして伝え合う力ってことで考えたときに、コミュニケーション文化。そうだ。前年度に夏に、7月の7日に吉本興業が大宮にできたってことを思い出したんです。研修支援呼んで、何人かのスタッフ、幹部を呼んで、こういうことやりたいんだけどどうかなって言ったら、「賛成します」ってことをみんなが言ってくれて、すぐ電話したら、吉本興業の幹部の方が「協力します。すぐ行きます」ってこと。「いや、こちらから挨拶行きます」とかって言ったんですけども、学校のほうに来てくださるってことで、3名の方が駆けつけてくれて、それで事情お話をして、タッグを組んで、じゃあ笑いを教育の中に入れましょうってことで協力いただいたってとこですね。

 

くま:すごい。その巻き込み力がすごいですよね。大宮に吉本があるって思いついて電話をする、その行動力と、そしてその先生の熱意で、やっぱり吉本興業の方が一緒にやりたいって思ってくれたってことなんですよね

 

田畑校長:いやそれはちょっとわからないですけども、でも同じ人間で、地域なんで、協力してもらえると。やっぱプロを、専門家を、学校の中に入れてくってのがこれからの教育の中でものすごい大事で、先生方だけではできないとこがあるので頼って、向こうは向こうで、やはり教育に、いわゆる人を育てたいって視点もありますので、連携図れてタッグ組めたら素敵だなっていうふうに私は思っていますね。

 

くま:それでタッグを組んで、実際にこういう漫才大会っていうのが実現するわけなんですよね。

保護者の方は、こういうのを聞いたときに、皆さん、保護者の方の反応ってどうでしたか。こういうのやりますって言ったときは。

 

田畑校長:よくわからなかったです。保護者の方、よくわからなかったんじゃないかなと思うんですけど(笑)、だけど事をなすときっていうのは賛否両論起きて当たり前かなと思ってます。それで良さを伝えて変えてけばいいので、その見通しは自分の中にあったんですよ。

 

くま:じゃあ先生の中でこれはいけると、いいんだっていうのがあったので、もう誰からなにを言われようとも突き進むと。

 

田畑校長:まあ無理はする気はないんですけども、ご理解いただいてっていうふうに思って、保護者の方、地域の方、たくさんお招きしたんですよ。そしてアンケートを取ってみたら、100%、賛辞なんですよ。私は50%、50%で、意見が分かれるかなっていうふうに思ったんですけども、子どもたちがステージの上で表現して、笑ったりとか、会場にいる子があったかく、もう包み込むような笑いをするわけですよ。そうすると、親御さんもそういう姿を見ていてあったかくなって、連鎖反応が起きるんですよ。体育館に今までに感じたことのないようなあったかいオーラが、雰囲気が出るんですよ。それは笑いの体験からしか生まれないものだなって。ほかの文化ではなかなか味わえない空気なんですよ。

 

くま:そうですよね。それでじゃあもう先生は、この1回の終わったときに、やっぱりこれは正しかったっていうふうに確信をしたってことですよね。

 

田畑校長:はい。そうです。

 

くま:多分それはそこにいた保護者の方とか、子どもたちも多分そう思ったでしょうね。これだっていうふうに思ったでしょうね。

 

田畑校長:だからすごく楽しみにするようになって、今度はいつやるんですか、田畑校長、とか、それは保護者であっても、子どもであっても、すごく食いつきがよかったなっていうふうに思います。

 

くま:そうですね。そういう言葉が出てくるってことはだって楽しかったってことですもんね。次いつやるのって、次が出てくるってことは。

 

そういう面白いことをやってるということを今日はじめてPodcastで知った方も沢山いると思うんですけどもそろそろお時間がきてしまいました。

 

次回はもう少し詳しく聞きたいと思います。

 

この音源はPodcastやyoutubeでも聞くことができます。

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