イベントレポート:【先生の学校 】フィンランドの歴史から紐解く「教育」と「デザイン」

こんにちは、マモル広報の榎原です。

先日【先生の学校】主催のイベントに参加しフィンランドの教育について勉強してきましたので、その模様を一部紹介させていただきます。

イベント:【フィンランドの歴史から紐解く「教育」と「デザイン」 】

スピーカー:先生の学校代表 三原菜央さん、エコ・コンシャス・ジャパン代表 戸沼如恵さん

前半はフィンランドの歴史と「デザイン」について、戸沼さんからフィンランドブランドのmarimekkoの陶器やテキスタイルを例に挙げながら、占領や内戦などの歴史の中で「日常を美しく」する為に生まれたフィンランドならではのデザインや、デザイナー達が多く育まれる環境についてお話がありました。
後半がフィランドの教育の歴史と現在の姿や抱えている問題について、【先生の学校】代表の三原さんからお話があり、こちらを詳しく紹介させていただきます。

ポイント

  • フィンランドは「平等」という価値観が最も尊重されており、教育においても「平等」の価値観のもと、全ての子どもに無償で均等な機会が与えられている。
  • 1994年の教育改革で教師の裁量が増え、今の自由な学びの環境が作られた。
  • 子ども達は学校で、自分に合った学び方自分の感情を知り表現する方法を学ぶ。
  • ビルマシステム(インターネット上のソフト)によって、先生と親がコミュニケーションをとり進捗を確認したり自由にコメントができる。
  • とはいえ、やはりいじめやモンスターペアレントも存在し、また自殺率の高さなどもあり、問題がないわけでは決してない。

フィンランドの教育における歴史的背景

「幸福度ランキング」で常に上位のフィンランド。以外と知られていないのですが実は長い間スウェーデンやロシアから支配され、独立後も内戦が続き国民同士が争うという悲しい歴史があります。

そのような歴史を経て、フィンランドでは「平等」が最も尊重される価値観となります。ヘルシンキ内の建物の高低差が無いのも「平等」が重視されている結果なのだそう。

そして、1919年に無償義務教育の法律が制定され「誰にでも等しく教育の機会」が与えられることになりました。

そこにはフィンランドの教育の幹として「平等な教育を受けた人は良い社会を作る」という考えが根幹にあるそうです。

無償で平等に受けられる教育と学び直せる環境

下記がフィンランドの修学過程です。
高校から普通高校と職業専門高校に分かれ、これらの高校はダブルスクールしても良く、またどちらかを修了した後にどちらかに行き直すことも可能で、「学び直し」を奨励している文化です。

フィンランドの学校教育の変遷

フィンランドもかつては「覚える教育」でしたが、様々な改革を経て現在の「主体的教育」へ変化を遂げたそうです。変遷は下記の通りです。

1.1960~80年代まで「覚える教育」

2.1970~90年代から「理解する教育」

3.21世紀に入ってから「主体的教育」

現在のフィンランドの教育はこういった歴史を経て築き上げられている事がわかります。中でも1994年のオッリペッカ・ヘイノネン元教育大臣によって行われた大幅な教育改革がフィンランドの教育の歴史では大きな転換点だったようです。

そこで行われた改革は具体的に、

1.教育の自由化

ー教師の裁量権を大幅に拡大した事で、教師が自由に授業の進め方を考えられるようになった。

2.教員資格を学部卒から学院卒へ(保育士以外の教員は全員修士)

ー教師は人気な職業になった。

3.教育への予算投資

ー「人」への投資の先に「経済成長」がついてくるという考え。

などがありました。

その後も改革は行われており、2016年に改訂された学習指導要領で教員は、

「知識を教える人ではなく、チームを引っ張る人であり、アドバイスをする人」

と定義が変わったそうです。

学校で「自分」を知り「表現方法」を習得する

そしてフィンランドの学校での「子どもの姿」が日本の学校とは大きく異なるのでとても印象的でした。

自分の心地いい学び方を知る

「学び方」は自由で、ソファに寝転がる、クラスの一番後ろのカーペットに座る、地域のボランティアの方と違う事に取り組むなどもOKなのだそう。

「自分を理解する」ことを習慣化する

子どもたちは今の「気分や感情」を絵やマークで記録し、周りに周知することが習慣化されています。

「ちょっと機嫌が悪い」「いつもより元気がない」などを周りに理解してもらうことで、コミュニケーションのトラブルを避けられる効果もあるようです。これは子どもでも大人でも、コミュニケーションツールの一つとして使うのは良いなと感じました。

自分の強みを見つける

 上記のようなカードを用いて、「親切」「〜が得意」など、本人の良い所をカードを使って評価し合う習慣があり、自然と自己肯定感が高まる効果があると感じました。

「クリティカルシンキング」を大事にしている

「クリティカルシンキング(批判的思考能力)」も授業で教えられるようです。クリティカルシンキングとは、「一つの事柄」に対して「本当にそうなのか?と批判的に考える」という考え方ですが、幼少期からこういう考え方を知る事は、情報過多な時代において重要な事だと思います。

フィンランドの先生の姿

この写真、先生の職員室なのだそう。職員室には大体ソファとコーヒーがあり、「リラックスできる環境」として位置付けられています。

フィンランドの先生達は大体16時には終業するそうです。

また、先生と保護者はビルマシステム(インターネットネット上のシステム)を介して、出席の管理、授業の進捗、保護者からのコメントなどができたりと、双方の意思疎通が行われているようです。

経産省主体の職業体験「ME&MY CITY」プロジェクト

個人的にこれは素晴らしい!と感動したのが、フィンランド政府のEconomic Information Officeという組織(日本でいうところの経産省)が主導する職業体験プロジェクト「ME&MY CITY」です。

      

企業研究をして、選考を経て、働くという一連の流れを体験できるようです。

こういった実践的な職業体験の機会は、他の国でも商業施設などで有料で体験もできますが、どうしても各家庭の経済状況による所が大きいと感じていました。ですが、国主導で全ての子供達に平等にこのような機会が与えるというのは、「人」対して「平等」を重視するフィンランドらしさを感じました。

さいごに

実際に視察した【先生の学校】代表三原さんによると、視察した学校の子どもにヒアリングしたところ「いじめ」はあるとの事でした。

これだけ「平等」や「自由」、「個性を大事にする」環境があってもなお「いじめ」は存在するというのが現実で、どの国も立ち向かっている問題なのだと感じます。

いじめを防ぐ「仕組み」を大人が用意できても、実際の子ども達の心にどこまで寄り添えるのか。

マモルは引き続きこの問題に諦めずに向き合い、解決策を探っていこうと思います。

【先生の学校】の皆様、素晴らしい機会をありがとうございました。

執筆者:マモル広報 榎原望美