ハインリッヒの法則を知っていますか?
ハインリッヒの法則 どこかで聞いたことがありませんか?
何かの標語のようですが、1930年代、アメリカのハインリッヒ氏が労災事故の発生確率を調査したもので、「1:29:300の法則」ともいわれています。わかりやすいように図で見てみましょう。
1つの重大事故の背後には29の軽微な事故があり、
その背景には300の異常が存在するというものです。
ヒヤリ・ハットという言い方の方が馴染みがある人がいるかもしれません。ヒヤリ・ハットとは、重大な災害や事故には至らないけど、直結してもおかしくない一歩手前の事例の認知をいう。文字通り ヒヤッとすることですね。
いじめの問題を日々考えている私が、なぜ、ここで「ヒヤリハット」を取り上げたかというと、このヒヤリハット、を、いじめの現場で活かしたいと思っているからです。
いじめはある日いきなり「いじめられた子が死んでもいいと思うほどヒドイことをされる」わけではありません。その前にいくつもの小さなイジメがあります。いじめというのは、ほとんどが、ひとりが起こした意地悪から徐々にエスカレートし、最終的には、例えばクラス全員でひとりを対象にイジメを行うとか、複数がひとりを相手にして継続的に、相手を追い込み屈辱感を与え、逃げ場がないほどに追い込んでいくといった、もはやわかった時には虐められた本人にとっては、癒えない深い傷をおった状態になっています。
だから、イジメがエスカレートする前に、つまりは大きな事件になる
「ヒヤリハット」の時点でイジメの芽に気づき、イジメの芽を摘み、イジメの芽をつくった土壌を改善する必要があるのはないかと思います。
いじめの「ヒヤリハット」が見つかった時点で、先生がその事象を共有したり、相談したり、保護者や学校全体と対応にあたることで、いじめの予防対策にしたいのですが・・・
ただ、このヒヤリハットをいじめの予防対策として使うには、いくつかの条件をクリアーしなくてはならないと感じています。
(1)基準を作らなくてはならない
なんでもかんでも「ヒヤッとする」ことだからと報告されるのでは、対応しきれません。ヒヤリハットの基準が必要です。
例えば、小学校でいえばクラスの○○ちゃんのノートがゴミ箱に捨てられていた、これはヒヤリの1件になるのだろうか。低学年のクラスを見ていれば、子ども同士がやり合ったりトラブルが起きることなど日常茶飯事で、それら全てを拾い上げていたら、対応も何もできません。
そこで、どういう行動がいじめのヒヤリハットと数えられるのか、それが1度なら「子ども同士の一悶着」であっても、継続しているのが問題だとして、何度続くとヒヤリハットと捉えるのか、むろん例外もあるでしょうが、基本的な指針として「基準」がないと、混乱するばかりだと考えます。
(2)どこでいじめが起きやすいのか
一般的にいじめは「休み時間と放課後」に起きやすいと言われています。
どこで起きやすいのか、しっかりしたデータや調査の結果があれば、それを参考にしてヒヤリハットの現場を見つけやすいと思われます。こうしたデータはあるものの、教育現場でどれほど共有されているのか、また、保護者の間に認識があるのか、この辺りもさらに深掘りしていく必要があるかと思います。
(3)学校現場が作るヒヤリハットの基準と予防策
基準を作るに関連してですが、いじめの基準は、すでに文部科学省から出ています。
いじめ対策にかかる事例集にいじめの定義が書いてあります。
しかし、ヒヤリハットの基準は、現場にいる教職員、子ども達、保護者が一番わかっているはずです。広く現場の声を集め、基準を作る必要があると思います。
この「現場の声を集める」のに、例えば、マモルを活かすことはできないか、と私は考えています。子ども達が「あれってちょっとひどいよね」「これはイジメじゃないかな」と思ったら、それを伝える手段として、ITツールをうまく利用できるのではないか、と思っているわけです。
ヒヤリハットは、いじめの前段階で起きている事柄を認知し、大きな重大な事件になる前に止める対応策として機能すると私は信じています。
ただ、なんでもかんでも「いじめ」と認定するのは違います。そこがヒヤリハットの基準を作る難しさですね。でも、それが難しいことであっても、この基準を作り、それをもとにしてマモルのようなツールでいじめの予防対策が少しでも可能になるのではという期待がある以上、わたしはあきらめずに努力していきたいのです。
子どもが虐められるのはとても辛いことですが、わが子が虐める側になることも誰にでもあり得るのです
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