いじめに教師がとるべき対応と事前対策
学校教育におけるいじめ問題は、現在日本でも社会問題に。教師は答えの見えない中で、最善の対策・対応をとる必要がある。
しかし、いじめはケースバイケース。どんな対策をとり対応をすれば良いのか頭を悩ませている方も多いのでは?
本記事では、対応策や事前対策の基本や例について解説したいと思う。
いじめに対しての教員がとるべき3つの対応
いじめは学校教育において、いまたくさんの教師が頭を悩ませている課題だろう。いざいじめが発生した時、さまざまなリスクを考えるだろうが、特に被害にあった子どもは心に大きな傷を負うため留意して対応したい。
そんな子どもを増やさないため、教師が取りたい基本的な3つの対応を解説する。
いじめの訴えは、誠実に受け止める
「気にしすぎ」「あなた(いじめ被害生徒)にも責任がある」などの言動は絶対に発してはいけない。
内容をヒアリングし、何を感じたとしても必ず真摯に対応しましょう。自身の主観だけでなく客観的にみて、どのように解決するかを模索することがベスト。
被害生徒と加害生徒どちらもからヒアリング
次に、被害生徒、加害生徒それぞれと個別面談を行う。このとき、必ず個別面談とし、お互い同時に話を聞くことは避ける。
なぜならば、お互いを目の前にすることは、刺激につながるからだ。
圧迫感を与えないように、具体的にどんな被害があり、どんな人間関わっているか、それぞれの意見を自身の主観なく聞くよう心がける。
学年主任や管理職、スクールカウンセラーなどへ相談
問題を、クラス内だけで完結させることは避ける。
上席に相談することは、自身の評価を下げることにつながるように思えるが、必ず主任や管理職に相談し、学校全体で解決するようにするべきだ。
そして、全体で解決法を探っていく。
いじめの事前対策は教員の勤務時間を「効率化」
いじめは事前に防ぐことが、最も重要だ。
日本の教員の勤務時間は世界最長
2019年6月19日付の日経新聞で下記の記事が掲載された。
日経新聞「教員の仕事時間、小中とも最長 OECD調査 」
経済協力開発機構(OECD)が2018年に48カ国・地域の小中学校段階の教員を対象に行った「国際教員指導環境調査」(TALIS)の調査の結果によると、日本の教員の勤務時間は48カ国中最長だということが明らかになった。
一週間の勤務時間は小学校で54時間、中学校56時間。通常の会社員で残業が無い場合一週間で40時間なので、教員の勤務時間の長さは異様とも取れる。
内容は事務作業に割かれる時間が多く、その一つに教育委員会からの「いじめに関するアンケート」への対応もあるようだ。また中学教員では課外活動に充てられる時間が他国に比べて大幅に多い。
働き方改革が難しい教育現場
昨今の働き方改革で、民間企業はテレワーク環境の向上もありスピード感を持って進んでいるが、教育現場の改革は難しいことが分かる。
先生達がこのような環境にいる中で、もし「いじめ」が起きた時、先生は時間的にも精神的にもそれに向き合える余裕を持つことができるのだろうか。
二人の小さい子どもを育てる筆者としては、一日子どもの命を守り無事に過ごすだけでも緊張感と隣り合わせで、子どもの心と声にしっかり向き合うには、向き合う側の心にその余裕が無いと非常に厳しものがあると感じている。先生も大量の事務作業に追われながら教壇に立ち一人一人の心に向き合っていくのは心も体も疲弊してしまうだろう。
「プロに任せる」で教員の負担軽減を目指す動き
そんな中、先日渋谷区のIT企業4社が渋谷区の小中学校でのプログラミング教育に向けた教材の提供、講師派遣、教員研修などに取り組むことが発表された。教員の事務作業の中でも、新しく始める授業の教材や、ICT端末の準備などは大きな負担となっていた為、専門的な分野は準備から授業まで一貫してプロに任せることで教員の負担にもつながり、子ども達もより専門的な学びを受けることが可能になる。
[参考]サイバーなど5社と渋谷区、プログラミング教育支援で協力
また、千葉市は教員の負担軽減や維持管理費削減を目的に、市立小学校の水泳の授業を民間に委託するモデル事業を6月から開始した。バスでプールに移動し、屋内プールでインストラクターによる授業が行われる。学校内でのプールの場合、安全管理の為に担任以外にも監視役の先生が一人必要となるが、民間に委託することで引率は一人だけで他の教員は学校で授業準備に取り組めるそうだ。これらの取り組みは千葉市以外でもすでに広まっている。
[参考]民間プール使い水泳授業 教員の負担、維持費削減 千葉市2小学校で効果検証
各分野のプロである民間企業が教育現場に参入することで、先生の負担が軽減され、子どもは専門的な学びにより、意欲的に授業に参加することが出来れば、双方にとって大きなプラスになるだろう。
これまで閉ざされていた「教育」という現場に、「働き方」や「教え方」という切り口で「民間」が入ることにより、まずは先生が心身ともに健康に子ども達と向き合える環境が整い、「いじめ」に繋がる小さな芽を予防する動きが広がることを期待したい。
執筆者:マモル広報 榎原望美
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