2021年4月1日

いじめってどうすればなくなるの

stand.fmで配信中「くまゆうこの教育子育て相談室」

ITでいじめのサインを見逃さない 株式会社マモル代表 くまゆうこが日々の事業の活動から寄せられた相談や見えてきたこと、聞いてきたことをゲストの方と一緒に考える番組です。

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今回は、いじめはどうすればなくなるのかについて、埼玉県越谷市新方小学校の校長先生である田畑先生についてお聞きしました。

※本記事は、2021年3月16日にstand.fmで配信を開始した番組を書き起こしたものです。

心身の苦痛を感じたらいじめ 100%被害者側に立つスタンス

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くま:田畑先生といえば教育漫才もそうなんですけれども、もう一個私田畑先生と知り合いになったのは元々はいじめですよね、キーワード。
いじめと不登校もなくすっていうことで先生が取り組まれていて、私もいじめを未然に防ぐという会社をやっているのでそこで多分お会いしたのが初めてだと思うんですけども、先生ズバリね「いじめ、どうやったらなくなるんだろう」ということでちょっと今日話ししたいと思っていて、先生が取り組まれていることとか教えてほしいと思うんですけど。

田畑先生:まず保護者、子供達に「いじめはこうですよ」っていじめの定義をきちんと教え周知することが大事、教職員も合わせてすることが大事かなという風に思っています。
例えば心身の苦痛を感じたらいじめなんですよ。ここをまずどう捉えるかってことなんですよね。
私は100%被害者側に立つ、これを原則としてます。

くま:それを言ってるってことですね。

田畑先生:そうです、先生方にも保護者にも子どもにも言います。

くま:そうですよね、結局今いじめって定義が曖昧じゃないですか。多分みんなが100人いたら100人いじめが違っていて、そうすると結局「これいじめだよね」って言った時に「いやこれいじめじゃないです」って話になると思うんです、決めておかないと。

田畑先生:そうです。
なので子どもが「僕学校行きたくない」、「なんで」って言って「○○くんにこういうことを言われたから」
これはいじめな訳なんです、それを解決してあげる。
そして加害者、この事象に関して現象に関してのみ、きちんと話し合いをして被害者・加害者ですよっていうことで謝罪の場、方向性を示しながら次からこうしようねって光を見せる。それは加害者であっても被害者であっても本校の大事な子供達なので、希望を持たせるような形にして、それはそれとして終わりにしますね。

くま:じゃあ例えばどっちも悪かったねみたいな話じゃなくて、一旦はAという事実に対してこっちが悪いよねっていうことをきちんとまず言うってことですね。

田畑先生:そうですね、どっちも悪かったねってこれはケンカです。ケンカっていうのはフィフティ・フィフティな関係で、一時的な感情でトラブルに発展するやり方なんですよ。
これに関しては、きっかけはどっちだったかな、原因は何かなという話し合いをして「ここは悪かったね、これは君が悪かったね」ってお互いに頭を下げるってあると思うんですけど。
いじめに関しては被害者の気持ちを考えるとですね、きちんと頭を下げてもらわないと収まらないところがあるんですよ。
意外と加害者側が無理やり頭下げられたっていうのがあるんですけど、だけどそこを指導して教育するのが先生方の役割なんですよ。
落とせなかった、納得させられなかったっていうのは指導法に問題があって、いじめの対応に問題があるわけじゃないんですよ。

くま:今の難しい、もっと聞きたいです

田畑先生:被害者と加害者をきちんと明確にしてあげないと、被害者側の心身の苦痛が取れないんです

くま:そうですね、本当。

田畑先生:よく加害者が先生方に無理やり謝らせられたって言ってスッキリしない感がのちに出たりするじゃないですか
そこではちゃんと加害者の子どもにも説諭をして、「こういう理由でこれいじめなんだよ」って納得してもらう必要があります。
納得しないから謝らなくてもいいか、これまた違うんです
納得しなくてもそこにいた校長であるとかいわゆる担任、学年主任であるとかちゃんと見てこれはいじめなんだよっていうことをきちんと教えてあげて、ここはどうするんだいって聞いて謝りますって自己決定させて謝らせる、こういう流れが必要なのかなって思います。
ところが意外と問題になるのは無理やり謝らせる、納得していないのに謝る場面になってしまって意外と後々すっきりしない関係が出てくるんですけどそれはまた別問題なんですよ
いじめの定義であるとかいじめってことをきちんと教えなかったから出るんであって、実際にいじめが起きているので、自分で決めて、謝るってことが大事
そうしないと被害者が安心して学校に来れない。気持ちがすっきりしなくてモヤモヤが残る
ので、今回のいじめの件に関しては被害者側に立ってやりますので、ここのところを明確にしないと曖昧にしてはいけないと私は思います。

くま:加害者も自分がこういうところが悪かったなと思って謝るのと、何にも悪いと思っていなくて形だけ謝るんだとまたやっちゃいますよね。
悪いと思っていないんだからまたやるじゃないですか。
ああいうのがダメだったなって思えば、次回はやらないでおこうかなってまだ可能性がありますよね。

田畑先生:そこのところで一緒くたにしてはいけないなと思います。

くま:よくどっちも悪いねっていう話があるけど、それはケンカだし
いじめの研究をされている和久田先生って方がアンバランスパワーって言い方するんですけど、パワーが同じだったらケンカだけど、どっちかがすごくずれた時にいじめなんですってことを言ってらっしゃって、まさにそのこと。

田畑先生:ケンカといじめをきちんと定義づけて指導する側、学校も保護者も押さえておかなければいけないんです
これはケンカ両成敗、謝るでいいよね
トラブル、これは100%加害者が悪いんだからちゃんと謝らないといけないねってことで否定に入っていかないと混乱します。これがやらないとケンカ両成敗だろうってトラブルが起きた時に保護者が言ってきたりするので、きちんと押さえて多くの方に周知徹底しておく必要性があるかなと思います。

教師の笠に着たいじめ 先生のためを思ってのいじめが平気でクラスの中で行われている

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くま:よくありますよね、どっちが始めたこっちが始めたがあると。小学校ってやっぱり1年生から6年生までいるんで、たぶんいろんなことがあると思うんですよ。
いじめという名のいろんなトラブルがあると思うんですけど、そこも成長段階において指導が変わってくるって感じですか。

田畑先生:そうですね、私が気をつけなければいけないなと思っているのは2つあっていじめにはならないんだけどにらみつけるとか、ドンと音を立てる、足を蹴ってみる

くま:いやな感じね。

田畑先生:気が弱い子は自分に何か敵対心を持っているのかな、いやな感情を持ってるのかなとそういう感情を持ったりするんです。
そういうところは笑いの力で教育漫才で和やかにして作っていかなければならないなと思っていますし、トゲを除去できるか、これが学級経営の1つのポイントなのかなと思います

田畑先生:もう一つは教師の正義を笠に着たいじめっていうのがあるんですよ
例えば先生が宿題を集める係を作りました。子どもは一生懸命集めます、出さない子がいます、「出しなさいよ」ってやりますよね、この子に全然悪気はない、当たり前のこと。先生のためにやっている。
ところが言われている方は宿題が出来なかった、家庭環境があって家のお手伝いをしてやる時間がなかった、様々な事情があるじゃないですか。
だけど出せってことで画一的に集めて「出しなさいよ、私たちが困るのよ」ってなっていくじゃないですか。
ところがそうやって言われ続けている子は、1週間も宿題をやってこないと「何やってんのよ」ってますます口調がきつくなって、言われ続けるのが苦しくなる。
そうすると学校行きたくないって言う。
何でって言うと「宿題係に繰り返し繰り返しいじめられるから」。
ところが宿題を集めている子どもたちっていうのは全然悪いわけじゃない、係活動をやっているだけ、ただ言い方がきつかったっていうのがあると思うんですけど、先生がやってくださいってことを素直にやっているわけです。
そこにいじめがあるんです。

くま:そうですよね、間違った正義みたいな言い方があるんですけど。

田畑先生:そうなんです。先生は楽なんですよ、「うるさいよ、授業が出来ないよ、うるさいと先生困るだろ」
本来は先生がやること、注意するのであれば「しっかりみんなで学ぼうよ」っておだやかに誰も傷つかない形でやらないといけない。
先生は気持ちがいいわけですよ、俺のために何人かがこうやって動いてくれて、教師を中心にいじめのピラミッド構造なんですよ。
これが意外と多いと思いますよ。

くま:そうですよね。

田畑先生:先生も楽だし、先生についていれば叱られることはない、形の上では正義を通せる。
先生のためを思ってのいじめが平気でクラスの中で行われている
これは改善しないといけない。
この2点は非常に気になってます。

教師は敏感でなければならない

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くま:しかも生徒側、やっている方は正義だからいいと思ってるから、「宿題やらない子が悪い、この子が悪い、だから言っていいんだ、どんどん言っていいんだ、私は正しい」っていう風にエスカレートしていくってことなんですよね。

田畑先生:そうなんです。そういう風な係活動を作らないっていうか、子どもがやるべきところはどこなのかってことを担任の先生がしっかり押さえること、あるいはそういうことに気づかない先生だったら保護者とか管理職が教えてあげることとか、あるいはそういうことを事前に保護者とか子どもに「こういうことがあったらダメなんだよ、やっちゃいけないんだよ、これがいじめなんだよ」そういう場も必要なのかなと思います。

くま:言い方も先生が注意した方がいいんですね。例えばさっきの宿題だと「何で宿題やんないのよ」って言う子がいたら言い方を優しく言ってあげようね。
都度都度その場で言ってあげると変わってくるんですね。

田畑先生:宿題を連続で出さない子には事情があるから、それこそ教師が介入して家庭と連絡とるようにして、係の子どもも困らない形、そういう配慮が必要だし、やはり教師は敏感でないとならない。

くま:先生すごい敏感ですよね。

田畑先生:ですか?鈍感ですよ。

くま:先生いつもいろんなこと考えられているから。それぐらいないともしかしたら気づかないかもしれないですね。

田畑先生:意外と気づかないところで進行していくんで、ふっとなった時に大きなトラブルに発展していることがあるので、気をつけないといけないなと思いますね。

くま:常にアンテナをってことですね。

くま:(いじめの)定義の話と被害者側に立つっていう話と、あとは教育漫才で和やかな雰囲気にしていく
これでずいぶん雰囲気も変わってきますかね

田畑先生:そうですね、やったクラスとやらないクラスでは大きな違いが出るかなと思います。
あと私は、校長室は基本的にオープンにしています。不登校の子どもで教室に行きたくない子はじゃあ校長室から、あるいは保健室とか職員室、子どもに相談室を選ばせてそこから心を整えて上がっていくような形。
学校ってどちらかというと教育課程って先生方が組むじゃないですか。そうじゃなくて子どもたちがこういうことやりたいという意見を取り上げてやらせる
そういうことができる総合的な時間、学活なんかをうまく使って今やっています。

くま:子どもたちがやりたいことを探求する教育については、また次回お聞きしたいと思います。

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