2021年2月24日

#7【現役教師に聞く】教育がデジタルで変わる!学校の存在意義は?松山先生

stand.fmで配信中「くまゆうこの教育子育て相談室」

ITでいじめのサインを見逃さない 株式会社マモル代表 くまゆうこが日々の事業の活動から寄せられた相談や見えてきたこと、聞いてきたことをゲストの方と一緒に考える番組です。

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第7回のゲストは、大阪の公立小学校の教員であり、現在広島大学大学院生でもある松山先生です。小学生の不登校やiPadを使った授業についてお聞きしました。

※本記事は、2021年2月1日にstand.fmで配信を開始した番組を書き起こしたものです。

家でも授業が受けられるように スライド授業のきっかけは不登校経験

くま:今日は一番よく質問がくる小学生の不登校ですね、それについてお聞きしたいなと思っていて、今日のゲストはですね、前回と同様大阪の公立小学校で先生をしていて現在広島大学の大学院で研究を進めている松山先生に来ていただきました。

まさに小学生の不登校っていうのは増えてるかどうかちょっと数字の比較はできていないですけど、やっぱり相談が多いなという印象なんですね。それで不登校もいろいろ理由があると思うんですけど、話せる範囲で先生の中で不登校でこういうお子さんがいたな、こういう原因が多いなみたいなことってありますか。

松山先生:そうですね、私が担任した中であまり不登校の子っていなかったんですけれども、唯一あったのが途中から不登校になっていく。結構前ですけれども不良傾向のある、昼夜逆転というか朝起きれないのがあったりとかで、だんだん学校に来れなくなったっていうのはありますね。

くま:これはあれですよね、昼夜逆転というのは、例えば夜遅くまで起きていて朝起きられないってことですよね。

松山先生:そうです、ちょっと年上の子と遊んだりしてて夜遊びですね、そういう子もいましたね。

くま:小学生ですもんね、それでもそういう風になっちゃうってことですね、だんだん来れなくなるっていうのは高学年につれてってことですよね。

松山先生:そうですね、保護者の方との関係性が高学年になると変わりますよね、ちょっと子どもの方が強くなっていうこと聞かなくなってきて、「学校行きなさい」っていうのがだんだん入らなくなっていく感じで不登校になっていくっていうのはよくありましたね。

くま:不登校になった子ども達っていうのは当然勉強もついていけなくなりますよね。

松山先生:そうですね、今実は授業をGoogleスライドで授業をしてるんですよ。あまり黒板は使わないんですね。 PowerPointで授業していくような感じで、PowerPointに文字を足していくっていうイメージなんですけど。何でそれにしたかっていうと休んだ子がまったくお家だと授業を受けられないじゃないですか。特にその頃は iPad みたいなものが入っていなかったのでただ休むっていうだけなので、そうするとノートの記述とか授業の進捗状況とか全く分からないので、授業をGoogleスライドにすることでURLを保護者の方と共有してお家でも授業の状況が見れるっていう風にしたんですね。

くま:それはいつからやってるんですか。

松山先生:それはね今年の初めからやってます。

くま:すごい、いいですね。それは iPad が皆配られてるんですかね、既に。

松山先生:配られたのが今年の1月で、配られる前からやってましたね。

くま:それは先生が独自でこういう風にしたらいいやって考えたんですか。

松山先生:そうですね。

くま:なかなか新しいですね。

松山先生:管理職の先生も良いのか悪いのか分からないくらいで、そんな感じで iPadも入っちゃったんで、私の中ではそれがスタンダードになったんですけど。

くま:先生は小学校なんで全教科やってると思うんですけど、全教科Googleスライドでやってるんですか。

松山先生:私が操作不十分なこともあるかもしれないですけど、Google スライドは縦書きができなくて国語だけは黒板でやってますね。

くま:Googleスライドでやると先生としてもやりやすいですか。

松山先生:めちゃくちゃやりやすいです、過去の分が全部残ってるんで。

くま:黒板だと1回1回消すから毎回書かないといけないけど、Google スライドはもうバッチリな資料がありますもんね。

松山先生:今は1月から子ども達iPad が手元にありますのでiPadにお気に入りみたいに置いているので、板書も前見ずにiPad を見たら何書けばいいか分かるって感じですかね。

くま:それって先生のクラスだけですか?

松山先生:そうなんですよ、私も他の先生に紹介したんですけど、今のところ私だけですね。

くま:そうか、それ他のクラスもやりたいですよね。

松山先生:なんでこんなことしたかと言うと、私も不登校だったんですよね。

くま:お、新しい情報、松山先生はいつ不登校だったんですか?

松山先生:中学と高校。高校は必要日数いったら行ってなかったですね。「あと何日行けばいいですか?」みたいな感じでしたね。

くま:ちょっと待って!先生、中学校の頃はどれくらい不登校なんですか。

松山先生:半年弱じゃないですかね、多分。うっすらしか覚えてないですけどね。あんまりネガティブな思い出は消えていく。

くま:家で何してたんですか。

松山先生:でも基本的には塾行って、勉強してましたね。だから学校に行くよりはめっちゃ勉強してたと思いますね。

くま:不登校もどっちかと言うと効率重視で塾に行こうみたいなことですか。

松山先生:きっかけはいじめだったんですけど、いじめの中にわざわざ行くのはなんかめんどくせえなって思って。中学3年だったし受験もあったので塾に通ってましたね。

くま:そうか、そういう不登校の子の気持ちが分かるってことなんですね。

松山先生:そうですね、入り口がいじめだったのでちょっとは気持ちは分かります。休まざるを得ない状況は分かりますね。

くま:だからそういう子のためになんとか同じような機会をって思ったら、Googleスライドで授業をやるっていうのが1つ案としてあったんですね。

松山先生:そうですね。

くま:小学校もそうやってやっていくと、たぶんGoogleスライドとか画像とか映像を使った方が理解が深まるものもありますよね。

松山先生:そうですね、今の子どもたちって結構視覚重視、視覚優位なので見えてくるものが情報として入ってくるので、動画とか有効だと思いますね。

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先生がいじめを作る?帰りの会がネガティブ報告の場

くま:本当に理科とか社会って行ったことないとか見たことないものの単語だけ言われても頭に入ってこないじゃないですか。
だからそういういろんなものを使いながら勉強するってすごくいいんだろうなぁと、ちょっと羨ましいですね、なんか。自分の時には全くなかったので。
もう一個不登校の話に戻すと、友達の関係とかいろんな理由があると思うんですけどね、先生に嫌なこと言われて学校に行けなくなったっていうのは実はあるんですよね、ちょこちょこ。これは同じ先生の立場からして例えば言われる言葉にもよると思うんですけど、「お前帰れ」とか「お前バカじゃないの」とか「お前なんてどうせ出来ないから勉強しなくてもいいよ」とか、そういうことを言われることもあるらしくて、お前って呼び方はちょっと 関係性によってどうなのかなと思うんですけど、どうなのかなこういうのって。先生によってどうですか。

松山先生:いじめられた経験があるので働いてよく分かったのは、教師がいじめを作ってるなってすごい思いますね。

くま:それはちょっと大事な発言ですね。

松山先生:これは亡くなりましたけど神戸の精神科医、中井久夫先生がおっしゃってましたけど「学校ほどいじめを教える塾はない」と言っておりましたよね。

やっぱりネガティブな行動に着目してしまうと子供達の関係にもそれが及ぼされるなと思うんですね。具体的には宿題忘れたら前に名前が書いてあるとか、できていない子に注意する、しかもそれを何回もしたりとか、先ほど口調が荒くなったりとか、後は子ども同士に注意させるって言う学級もあるんです、特に低学年に多いです。
前に日直さんが立って「誰々さんちゃんとしてください」とか言う、これよく見られますよね。
これはそうなるよね、いじめにも繋がるよねっていうのよく見られますね。

くま:今その話を聞いて思い出したエピソードがあったんですけど、小学校のホームルームの帰りの会に必ず「今日誰が何をした」みたいな、悪いことですよ、それを報告させる会があったのを今思い出しました。例えば「松山君がこういうことをして良くないと思うんでそれはやめてください」みたいな会がありました。

松山先生:今同じこと言われました、小学校の時。覚えてますもん。

くま:そうか、それって私は学校でやってたから普通にホームルームとしてやってたけどよく考えたらそれってすごいネガティブな話ですよね。

松山先生:そうですねだから「終わり良ければすべて良し」なので帰り際こそポジティブですよ。

くま:確かに。

松山先生:だから前回お話ししたポジティブカードを例えば終わりの会で書きあったりして、カードを握りしめて家に帰ると。そうしたら学校行ってよかったなってなるじゃないですか、お土産持って帰るじゃないですけど。
おうちでもこの子にこんなことを認められたのって友達同士が保護者の方も繋がるんですよね。
そういう風な種まきじゃないですけどポジティブなきっかけを終わりの会で作りたいなと思っていますね。

くま:先生の言ってた正にポジティブなところに着目しようという話とか、確かに帰り際に何か嫌なこと言われて帰ると嫌な思い出になりますよね。

松山先生:でもね、学校の教員、教師って結構真面目なのでしっかり過去のことも覚えてるんですよね。すると子供のレッテルというこういう子というのがなかなかぬぐえないんですよ。
だから先入観で指導してしまうのでネガティブなアプローチがなかなか消えにくいですね。だから長期休暇がしっかり休む方がいいんじゃないかなって私は思ってますね。

くま:どういうことですか。

松山先生:学校教員の一番メリットは冬休みとか夏休みとか有給の中でも休めるわけですよね。しっかりリセットするっていうことも学級担任としてはすごく大事かなと思いますね。

くま:それで少し自分の先入観もクリアにするっていうことですね。
あと不登校になった場合ってやっぱ子供の居場所がないっていうのを、この居場所っていうのは家はもちろんあるんですけど、保護者の方が心配されることは子どもが誰とも接しなくなっちゃって友達がいない状況っていうのはどうすればいいんだろうとか不安とか焦りがあるって小学校だと保護者の方が言うんですけども、どうなんですかね友達との関わり。今ゲームとかネットとかいろいろありますけど。

松山先生:結構学級担任してると友達がいないということで悩む子がいるんですよ。私自身に友達ってあんまりそんなに多くはないです、大人ですから。
子ども達に結構「まず1人で楽しめるようになりなさい」って言ってますね。

平田:すごい大事、胸に刺さりますね。本当に1人で楽しめるかどうかで随分変わりますよね。

松山先生:1人で楽しんでる時にちょっと近寄ってくる子っているじゃないですか。自分が友達が少なくてもちょっと声をかけてくれる子もいるじゃないですか。その子をすごく大事にしなさいよとそういうことをよく話しますね。

くま:親が自分の子どもに友達がいないと不安になるんですよ。例えば「自分の子供が本ばっかり読んでます」とか、「休日に誰とも遊ばないで家でじっとなんかしてる」とか1人でやってるって言うんだけど別にそれはいってことですよね。

松山先生:私も家に帰れば親、子どもがいますので思うんですけど、親ってすごく忙しいじゃないですか。だから事実で安心したくなるんですよね。宿題しているとか、私の子供今5歳なのでピアノの練習しているとか、だからその事実でやってるなって安心をしたいんですけれども、やっぱりそこは子どもとの会話でそこも見つけていけるように子ども達と生活できるようになりたいなと思いますね。やっぱりこれから選択登校制とかお家でも授業を受け取るっていう環境整備が整ってきてると思うので、今後はそういったサポートも出来るんじゃないかなと思っています。

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コメントや目で見て分かるiPadで体育がやりやすくなる?

くま:あと先生 Twitter でつぶやいていた iPad を使って体育の授業がすごくやりやすくなった気がしたんですけどこれはどういうことですか

松山先生:3学期から iPad が私の働いてる学校で入ってきたんですけれども、ちょうど緊急事態宣言でコロナじゃないですか。だからチームプレーみたいなことが出来なくなっちゃったんですよ、だからみんなが離れて体育するんですよ。

くま:ソーシャルディスタンスですね。

松山先生:今やってるのがローンダート。側転の後ろ向いて着地するやつなんですね。

くま:ジャニーズがやるやつじゃないですか!

松山先生:私もできないんですけど(笑)

くま:出来ないですよね、普通の人できるんですか。

松山先生:「こういうYouTube 見ればいいよ」とかそういう紹介をして子ども達練習しますよね。私ができてるかな、できてないかなっていう評価は今までだったら名簿にチェック付けていってたんですけれども、子ども同士で動画を撮ってもらってそれを提出してもらうんですね。私に送ってもらったら私が動画でコメントも入れられるのでチェックして「もうちょっと足高いほうがいいよ」とか「着地はこっちの向きだよ」とかコメントを入れてまた返すと。そういうふう風なやり取りで。

くま:何のツール使ってるんですか

松山先生:それはロイロノートっていうアプリですね。

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くま:今日はいっぱい出てきてロイロノートの CM みたいになってるんですけど、いいですね、なかなかね。

松山先生:僕ロイロノートしか使ってないから他が分からないですけど。

くま:書き込んだりしたりしてさっきも言ったけど、目で見てわかるのっていいですよね。あと今の YouTube 見てみたいなのもいいですね。「こうやって後ろの手を」とか言われるより動画見たほうがわかりますものね。

松山先生:そうなんですよ、止めながらとか上の体勢ではどんな状態になってるかとか見たりできるので、私がモデルするよりは分かりやすいと思います。

くま:先生できないんですもんね(笑)私もできないし。じゃあ iPad が入って学校現場もすごく変わってきてますね。

松山先生:そうですね。

くま:あとはもっと活用、松山先生はすごく活用されてると思うんですけど、私の印象だと入れただけみたいなところがすごく多いなと思ってるんですよね、配ったけど使ってないとかね。だからどうやって使っていくかみたいな事を皆で発信していきながら活用していくといいですよね。

松山先生:そうですね。

くま:これから最後に聞きたいのが、例えばこれから先5年後10年後って学校に行かないで家にいて学校の授業を受けるような世の中になっていくんですか。

松山先生:私としてはある程度学校は社会でまだニーズがあると思っていて、なぜかと言うと私の研究もそうなんですけど人って社会性の向上が求められるじゃないですか。だから iPad で知識は習得できると思うんですよ。でもその知識を融合させたりとかその融合させた先からもう1回学び直したりとか、そういう人と人が交わってやる時のコミュニティっていう意味で学校っていうのは引き続き続く、必要だと思うので、言ったら反転学習ですかね、お家でこういうのを見てきてやってみてみんなで話し合うみたいな授業になっていくんじゃないかなっていう風に思っています。

くま:だから学校はあり続けるし必要だよねっていうことですね。分かりましたありがとうございます。今日は不登校の話からふくらんでiPadのことまでお聞きしたんですけど、なんか先生の根底にあるのはポジティブっていうところですよね。ポジティブ感情ってことですよね、ありがとうございます。

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