いじめを火事で例えると
こんにちは。株式会社マモルの代表のくまゆうこです。
マモルは、いじめ防止相談ツール「マモレポ」を全国の小中学校へ導入してます。
今回は、2月20日(日)にあったオンラインセミナー「第2回いじめ対策における教師の役割と志」であった、熊本大学教育学部 八塚教授の発表「火事のメタファーを用いたいじめ理解」をご紹介します。
みなさんはメタファーという単語をご存知でしょうか?メタファーとは、「たとえ」という意味になります。私もよく例え話をしますが、難しい物事を誰でもわかりやすく例え話でたとえて話すととても効果を発揮します。
今回の八塚教授の研究は難しく捉えられがちな、いじめを火事に例えていて、これがとてもわかりやすく実際に効果を発揮しています。
ちなみにたとえ話というのは、珍しいものではありません。むしろ教育ではよく使われていてストレートに物事を伝えるよりも例え話の方がわかってもらえることも多々あります。
【事前調査】なぜこの研究をすることになったのか
そもそもなぜこの研究をすることになったかというと、大学で教員免許を取得する生徒は以前までと変わらずいるものの、進路選択で「教員になりたくない」という生徒が多いからだそうです。
単純に教員の仕事が大変だからということが理由にもなりますが、それと同じくらい
・いじめの対応が難しい
・いじめの対応がうまくできるか不安
と話している学生が多いそうです。
※教員の仕事が大変なことについては、以前noteで教員のブラック勤務問題についての記事を書いているので興味のある方はチェックしてみてください。
実際、いじめは対応が可能で教員が介入して解決に近づけるポイントも無数にあるのですがいざ現場で起こってしまい自分で解決をしなくてはいけない状況になると途端に難しくなります。
教員を目指す学生なら、なおさら授業で「いじめ解決」と聞くと難しく感じてしまうかもしれません。
それいじめについて、うまく学生につたえる為に、「火事」に例えたという実験です。
いじめを火事に例えてみたら
いじめを火事に例えてみます。
<火事なら>
●平時
異常乾燥状態・可燃物の放置
↓
●発生
煙・ボヤ
↓
●深刻化
激しい炎上・焼け跡
<これをいじめにすると…>
●平時
微細な問題行動・クラス雰囲気の悪化
↓
●発生
不当な行動・一方的な侵害
↓
●深刻化
執拗な暴力・被害者の自死
いじめも火事と同じで突然、激しい火災が起きて燃え盛る訳ではなく必ず発生の段階があります。
いじめが発生をしてしまったということは、何事もなかったように見えて「何か」があったということ。
火事なら異様に乾燥していたり、可燃物が放置してあってそこから煙が出ていて…といった異変が起きている状態です。
火事が起こらないようにあらかじめ、「今週は極度に乾燥している・可燃物は放置しない」ように注意勧告をしたり、煙が出ていたら水をかけたりと対策します。
しかし何もしなければ「火事が起こる」と悪化の一途をたどります。
火事のときはどうする?
では火事が起きたらどうするのか。消防のプロは、火事が発生したら必ず出動、応援を求め組織で対応するのが鉄則。もし深刻化したら別の地域の部隊がやってきて総力戦で消火をします。
火事が起こってから焦っているようではプロとは言えません。
平時から素人にはわからないような異変や危険の兆候を察知できるのがプロ。そして平時のときから火事が起きないように活動することが本当のプロです。
いじめが起こってしまったら担任だけではなく教員組織や外部機関と連携しながら対応する。平時に些細なことでも問題になりそうなことがあれば、対応していじめが起こらないようにする。
いじめも火事も同じことが言えます。
メタファーを用いた後の学生の反応
例え話をする前に学生に、「いじめ対応にどの程度自信があるか」を0〜100点で回答してもらった場合、平均は27点でした。
それに対して授業実施後の平均は46点。「いじめ」を、本来はまったく別物の「火事」という事象にあえて例えることは、一定の効果があったようです。
また「いじめ」という語の使われ方には、特定の意味合いや偏りがあったのではないか。特有のイメージや先入観が学生たちを縛っているのではということも考えられます。
まとめ
身近なものに例えるということは、理解を深めるのにいいですね。形の見えないものはみんな不安です。
難しい内容もわかりやすい物事に例えて話してみる。少しでもイメージがしやすいということは大切なことだと思います。
もしかしたら教員だけでなく、子どもにも同じ内容を話してみてもいいかもしれないですね。
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