2021年3月1日

#9【現役教師がリスナーの質問に回答】叱らない?子供と『横』の関係を 庄子先生

stand.fmで配信中「くまゆうこの教育子育て相談室」

ITでいじめのサインを見逃さない 株式会社マモル代表 くまゆうこが日々の事業の活動から寄せられた相談や見えてきたこと、聞いてきたことをゲストの方と一緒に考える番組です。

https://stand.fm/embed/episodes/601fb1748ba7e12cf11fb3c2 stand.fm

第9回は、リスナーの方からの質問について東京都の公立小学校の教師をしている庄子先生にお聞きしました。

※2月8日にstand.fmで配信を開始した番組を書き起こしたものです。

大人にものを言えなかった子ども時代 保護者の立場から質問

画像1

くま:今日のゲストも東京都の公立小学校の教師をしている庄子先生です。今日は早速リスナーというか聞いてくださってる方から質問が来てるので、それに庄子先生に答えていただこうと思ってきてもらいました。どんな質問か、来た質問を読み上げますね。

子どもについてのことで質問です。自分も子ども時代があったはずなのになぜあの時に何も言えなかっただろうと思うことがあって、それを考えても全くわからないです。弱かったといえばそれまでですが、知識というかそういうものが足りないからでしょうか。もしそうだとしたら、子どもにどういう風に伝えたら同じようなことにならずにすむのでしょうか。

くま:この質問の意味分かります?

庄子先生:この人の子ども時代の時にってことであってますかね

くま:多分、子どもに何と伝えればいいかって言っているから今保護者だと思うんですよね。保護者であることを前提に、「自分の子ども時代があってなぜあの時に何も言えなかったんだろうと思うことがあり、それを考えても全くわからないです。わかったといえばそれまでですが知識というかそういうものが足りないからでしょうか」っていう話で、多分なんですけど子どもの頃に言おうと思ったけれど言えなくて、今になって何で言えなかったんだろうなって事があって自分の子どもにはそうなって欲しくないからどうすればいいかっていう話だと思うんですよね。
で、私これめちゃめちゃわかるんですよ、この気持ち。何かね、まず1つ学生時代に体罰する先生がいたんですよ。とにかく、私その時にすごく体罰って良くないし、殴ったり蹴ったり、女性でもめちゃ蹴られてたんですよ。遅刻した私が悪いんですけど、遅刻ギリギリで行くと門が閉まるんで、その後遅れたら自転車をボコボコに蹴られるんですよ。

庄子先生:それはすごい。

くま:すごくないですか。私、中学校の時自転車通学だったんですけど、遅れたら自転車を蹴られたんですよね。あと忘れ物したら殴られる。私は忘れ物しなかったから殴られなかったけど、あれを見て私も腹が立ってたんだけど、言えなかったんですよね。でも今思えば、絶対言えば良かったと思って。とか同じやつもありますね、体罰のやつは今すごい思うのと、あと親に対しても思う事があって、あの時に聞き分けがいい子になっちゃって言わなかったけど言えばよかったな、みたいなことがあって、そのことかなって私は勝手に思っちゃってるんですけど、そんな質問でございます。

庄子先生:当たり前っちゃ当たり前ですけどね、今振り返るからそう思われるっていう事があると思いますけど、子どもが親、大人にものを言えないっていうのは、ある意味当たり前っちゃ当たり前なのかなって思うんですよ。

くま:なるほどね。

庄子先生:今大人だから子どもの時にああすればよかった、こうすればよかったって思うことはあると思うんですけど、言えなかったこと、過去の自分を責める必要はないなって思いますが。私だって当然子どもだった時にそれが当たり前ってやっぱり習ってるところがあるじゃないですか。だから大人がやっているとそういうものなんだなってどうしてもなっちゃいがちなんでそれを僕らの観点でものを語ることはなかなか難しいので、まず自分を責めないでってことが大前提の1つ目で、あとは親としてこうあるべきっていうことは捨てた方がいいのかなって思います。これも自分の子どもだって自分と同じ人格じゃないんで、「子どもは子ども、私は私」っていうスタンスがまず大事かなって思っています。
3点目はどうしても大人と子どもで上下の関係になっちゃうと思うんですよね。先生と子どももそうだと思うんですけど、その立場だからこそ親であれば横の関係、人と人としての関係で接するのが大事だし、教師なら当然横の関係で接するべきだし子どもだった場合はどうしても下になりがちなんで、それを横で話してくれる大人を見つけるっていう事が大事かなって思っています。

くま:横っていうのは同じ目線っていうことですか。

庄子先生:同じ目線っていうには経験上とか年の関係で上と下になりがちですけど、人と人と接するっていうの私は大事にしていますけどね。

くま:庄子先生の日頃の学校での生徒というか子どもたちと接し方で、それを気をつけてるって事なんですね。

庄子先生:そうですね、ちょっと斜め下ぐらいに入りますけどね(笑)どっちかというとすごいね、子ども達の方がすごいねっていうのもあるし、表現としたら良くないかもしれないですけど、いい意味でなめられることは意識してますね。あえてドジを踏むというか、あえて変な。

くま:そうなんですね。

庄子先生:「先生って実はすごいらしいぞ」みたいなことを言われることがあります(笑)。それぐらいでないとバランスの取れない気がしますけどね。

くま:逆になめられちゃいけないと思うんですけど、そういうことはないんですか。

庄子先生:なめられちゃいけないと思う若手ほどぶつかっちゃいますね。横が大事なんですけど、横ってなかなか保てないんですよね。だからちょっと上になったりちょっと下になったりのバランスをどれだけ整えるかが学級関係でも親子関係も大事かなと思うんですけど。当然くまさんだってお子さんと上にいる時もあれば、ちょっとわざとというかドジを踏んで「お母さんもダメだ」みたいな感じで言うこともあると思うんですよね。その辺のバランス感覚で横の関係を作れると良い関係が作れるんじゃないかなって思うんですけどね。

くま:親ってすごいと思われがちだけど全然すごくないじゃないですか、自分も親になってわかるんですけど。
そういうところも子どもに分かるように、親が言うことが全部100%正しいわけじゃないよっていうことを意識してコミュニケーションを取るって感じですかね。

庄子先生:そうですね、でも子どもの時って親がすべて正しいと思っていませんでした?なんとなく思っちゃうんですよね、「怒ってくれるのは必ずしも僕のためだ」みたいなことを思いがちだから体罰も許されちゃったりとかすると思うんですけど、大人になってわかることは、大人は常に子供のことを考えて怒ってるわけじゃないじゃないですか。
当然イラッとして起こることもあるし、本当にふざけんなよって思いながら怒ることもあるし、その子のためになるために怒ってるって言いたいですけど全てが全てじゃないので。
ただ子どもからしてみると、一応親や大人は子どものこと考えて怒ってくれてるんじゃないかなって最初は思ってるんだけど、それがそうじゃないと気付いた時に言うこと聞かないっていう感じになっちゃうと思うので、なんかバランスって大事だなと思いますね。

𠮟る前にひとこと「どうしたの?」の声掛け

画像2

くま:庄子さん本で叱らない技術でしたっけ?それで本出されてると思うんですけど、これってどういう話なんですか。

庄子先生:𠮟ることが悪いことじゃないんだけど叱らない方が効率がいいっていうことと、端的に言えば叱る前にどうしたのって聞こうっていうことが一言ですかね。

くま:それはなにか悪いっていうか何かしましたっていう時に頭ごなしに叱るんじゃなくて内容を聞きましょうってことですか。

庄子先生:そうですね、殴っちゃったみたいなのは止めなきゃいけないと思うんですけど、それ以外、例えば教室で言われたことをやっていない子がいた時に「やりなさい」って言いがちじゃないですか。でもやらない背景に気づくことが大事で、「どうしたの」ってひとこと声かけると実はやってないように見えるけどそのことを非常に一生懸命やってたからやってないように見えたってこともよくあることで。

くま:なるほどね、結果、アウトプットは出てないけど実はやっててってことですね。

庄子先生:そうですね、子育てでいうと「宿題やりなさい」ってやってないから言うとして、「やろうと思ってたのに」って反発するパターンと似てると思うんですけど、見た目ではやってないんだけどもやろうと思ってるんだけどやめられない環境にいるみたいな時は頭ごなしに「やりなさい」っていうんじゃなくて「どうしたの」って言う声かけを一言入れるだけで主体的に宿題をやるようになると思うんですよね。もしくはやらないっていうこと自体がそういう時期だったんだなってあきらめてあげたりすることで次の日はやるようになったりとかって思うので、叱ることにあまりメリットは感じないですね、叱れないのはちょっと違うかなと思うんですけど。

くま:叱らないことと叱れないことは別ってことですね

庄子先生:叱られてないから叱り方がわからないっていう人も確かにいて、叱り方が分からないから無駄に叱っちゃうんですよね。そうすると関係が悪くなる、みたいな若い人たちの失敗事例でよくあるんです。でも先生たちの中でもまず4月のうちにどっちが上かマウントをとるみたいな言い方が結構あるんですけど、その文化をどうにかしなくしていかなきゃいけないなと思います。子育ても一緒でなめられちゃいけないから親としての威厳を見せるみたいなことも結構あると思うんですけどやっぱり違って、みんなが幸せになるためにはどっちが上とかどっちが下とかじゃなくて、より横の関係をどの関係でも作るということが大切だなと思ってるんです。

くま:4月にマウント取るみたいなの、すごいわかります。いますよねそういう先生、保護者にもいるんですけど、なんかねものすごく怖い感じでいますけどそれは違うよっていうのが庄子流ですね。

庄子先生:そうですね。

くま:マウント取った方が、要は上位関係をバッと作った方が簡単そうに見えるけど、それは後からこじらせちゃうよってことですね。

庄子先生:4月はいいんですよね、マウントとっちゃえば。「こいつ大したことないぞ」って気づいた瞬間に学級て崩壊していくんだよね。

くま:確かにそうかも、そうやって思った瞬間に話聞かないですもんね。

庄子先生:いじめも割と4月はないと思うんですけど、後半2学期から3学期にかけて学級崩壊とかいじめって起きてくるもので、それってまさに4月のフレッシュな状態だと一回リセットされるというか、誰が上、誰が下でマウント取るか立ち位置が分からないからとりあえず静かにしてるっていう現象が全体に起こるんですけど、それがある程度バレてくると2学期3学期ぐらいから崩れていくというこの悪循環を何とかしてなくしていくためには、4月の対応がとても大切だなと思いますけどね。

くま:そういうのに取り組んでる熱心な先生、今個人名だすとゲストに呼ばなきゃいけなくなるから個人名は控えますけど(笑)同じこと言ってます。4月にやっぱりそこを伝えたりとかすることが大事って言ってたからやっぱりそうなんでしょうね。あとさっきの叱れないはまた話が違うよっていうのは、例えば親が子どもの顔色を見て叱れないとか、かわいいから叱れないとかそういうことはだめだよってことですよね。

庄子先生:そうですね、言葉で暴言とか手で叩くとかそうでなくても、間で叱ったり表情で叱ったりでいくらでもあると思うんですよね。やっぱり悪いことした時って人間反省するじゃないですか、一瞬。それなのに怒っててもあんまり意味がなくて、叱らなきゃいけない事っていうのは悪いことしてるのに反省してない時は叱るべきだと思うんですね、声でも。それはいけない事だっていうの分かってない子にはちゃんといけないことだって伝える必要があるんですけども、ほぼ95%はやった瞬間に悪いことだってわかってるんですよ、人を叩いちゃったってなったら悪いって分かってるんで、悪いと分かってる人にはいちいちそれが悪かったよねって確認することはないですね。

くま:そうなんだ。

庄子先生:だけど殴っちゃったけど「俺は悪くない、殴ったのは正当だ」ってずっと言い張っている子に関しては「どうしたの」って聞いた時にそれはやっぱり悪かったって思えるような質問の仕方を考えてます。

「教えるのではなく共に学ぶ教育を」オンライン教育を機にゼロからスタートするチャンス

画像3

くま:それで心理学を学んだりいろんな手法を取り入れてるからできることだと思うんですけれども、これを全国の先生全てができるようになると学校ってずいぶん変わりますよね。

庄子先生:そうですね、これって日本の教育の問題じゃなくて日本全体の問題で、くまさんが殴られて育ったっていうのと同じように私も殴られて育った最後の世代なんですけど、野球部だったからっていうのもありますけど、どうしても自分が受けた教育をそのまま下の子にもやってしまうというのもあると思うので、それを何とかしてここで断つ必要があるなと思います。

くま:ガラッと変えなきゃいけない。コロナになってオンライン授業も出てきてずいぶん昔と環境が違うから、今変わらねばならぬって感じですよね。

庄子先生:それこそオンラインは私たち受けた教育では一切ないので、だからこそゼロからスタートできるんですよね。だからそういう意味ではゼロを大切にするけど当然これが当たり前になってしまうので、当たり前になる前にちゃんとした教えるんじゃなくて共に学ぶっていう授業をタブレットに限らずガラッと変えていけるといいんじゃないかなって思います。

くま:そうですね、そういうのでいっぱい庄子先生はコロナのあの時いろいろ発信してたんですもんね。すごかったですよね、2000人ぐらい来たイベントで。

庄子先生:くまさんにもしゃべっていただき、ありがとうございます。

くま:庄司先生のいい意味での無茶ぶりが良かったですね。どんどん人が増えていくわ、直前に「はいこれ、はいこれ」みたいなすごい指示が出て、いやあ楽しかったですよ。

庄子先生:ご協力いただきありがとうございます。

くま:知らない人もいるからちょっと説明しますね。庄子先生と一緒にオンラインイベントをズームでさせてもらって、そしたらゲストがいろいろ来たのもあったんですけど2000人オンラインのイベントに参加者が来て、2000人ズームできるんだって話ですよね、助っ人も来ていただいて。

庄子先生:本当ですよね、くまさんに裏方全部やってくれたから助かりました、ありがとうございます。

くま:テレビの生放送みたいになってましたね。そういうのもやって、あの時はあの時で楽しかったですね、盛り上がって。
という訳で、今日は庄子先生にこの質問に答えていただきました。次回は小学校の不登校の話を聞きたいと思います。

https://stand.fm/embed/episodes/601fb1748ba7e12cf11fb3c2 stand.fm

    • ブログ