#10【現役教師に聞く】学校は行かなくてもいい?不登校への向き合い方 庄子先生
stand.fmで配信中「くまゆうこの教育子育て相談室」
ITでいじめのサインを見逃さない 株式会社マモル代表 くまゆうこが日々の事業の活動から寄せられた相談や見えてきたこと、聞いてきたことをゲストの方と一緒に考える番組です。
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第10回は、小学校の不登校における様々な理由や対処法について東京都の公立小学校教師をしている庄子先生にお聞きしました。
※本記事は、2021年2月8日にstand.fmで配信を開始した番組を書き起こしたものです。
風通しの良い教室では暴言が生まれない
今日は小学校の不登校についてお聞きしたいと思っています。今日のゲストは東京都の公立小学校教師をしている庄子先生です。
くま:最近こういう悩みが多いんですけど、小学校の不登校ですね。不登校って色々原因があると思っていて、もちろんいじめとか子ども同士のトラブルで行かないパターンと、あと学校っていうもの自体が馴染まなくて行かないとかあると思うんですが、最初に取り上げたいのは先生からなんかひどいことや嫌なことを言われてショックになって行かないこともあるらしいんですけど、そういう相談がいくつかあるんです。
先生、こんなひどいこと言う先生もいるんですか。
庄子先生:答えていいですか?いますよね確実に。
くま:確実にいますよね。そういう先生って自分が子どもを傷つけてるという自覚はあるんですかね。
庄子先生:まずいくつか問題があるんですけど、ひどいこと言う先生もきっと、その保護者の前だとひどいこと言わなかったりすると思うんですよね。
くま:確かに保護者がいたら言わないんですよね。
庄子先生:つまり学級がひとつの箱になっていて、大人1人と子どもしかいない状態で授業をしているからそういう暴言を吐いちゃうんだと思うんですよ。これで例えばいろんな先生が常に見れる状態、先生同士が見れる状態と、あとは例えば窓とドアが開いているだけでそういう暴言って減ると思うんですね。なのでまず前回に話した上下の関係じゃないですけど、私は上なんだ、悪いのは君だからって感じで暴言を吐くパターン、かなり見られると思うんですけど、まずそれを教師同士がちゃんとそれはいけない事なんだよっていう風に伝えられる教室を作っていくことが必要だと思っています。これは教師目線ですけれども。
くま:要は密室って言ったら言い過ぎだけれども、そういうことですよね。だから何言ってもいいってなって、こういうのを言う先生ってちょっと感情的なんですかね。
庄子先生:まずはやっぱり学級経営の仕方が前回も言ったように、自分が上で子どもが下でちゃんと私の言うことに従わせたいみたいな人には、上からいろんな暴言を吐いてしまう方が割といらっしゃるんじゃないかなって思っています。
あとは昔と違って体罰もできない状態だから叩かないけど強い言葉で言うみたいな、もちろんそれも体罰なんですけど。そういう先生は何人かいらっしゃるんじゃないかな。あと厳しく言わなきゃいけないみたいな感じで、私にもそうですけど私のことを優しいとかゆるいとか言う先生に限って無駄に厳しかったりします。
くま:庄子先生は優しいんですね。
庄子先生:子どもからはそんなに、でも優しいって言われるかな?優しいと言うより怒らないって言われるかな。6年生だからあんまり優しいとは言わない、3,4年くらいだと優しいっていう。
くま:そうなんですね、いろいろな暴言があると思うんですけど、結構やっぱりもちろんバカみたいなわかりやすい暴言と、否定形、お前はだからダメだとかお前はどうせ勉強ができないどうせってつける。そういうのが多いみたいですよ。あとは本当に女の先生だと多分ね、こわい(笑)、暴言っていうかこわいって感じですよね。そうやって傷を負って学校行けなくなっちゃう。でもまだ先生は働いてるっていう事で不登校になってしまう子がいるみたいなんですよね。これってでも、どうすることもできないんですかね。
庄子先生:まず1つ目は大きく変わるなって思うのは今1人1台端末ですよね、何かあったら嫌だったら子どもに録音していいよって言っちゃっていい気がしますけどね。でも教師としては嫌かもしれないですけど。自分を守るためにもそういうことができるかなって思いますし、それはもう簡単にできる時代だからこそ教師も随分そういう暴言は減っていくんじゃないかなとも思ってはいます。
くま:全体的に世の中的にハラスメントはダメだっていう話になってきてるので、会社とかも昔は、今もありますけど、やっぱり暴言もものすごい強い言葉でいろんな事を怒るというか、それが最近録音されてね、よくニュースになりますもんね。だからどんどん減っていくと信じたいですね。だって学校で言われちゃったら困りますもんね、子どもがね。
庄子先生:そうですね。
無理して行かなくてもいいんだよ タブレットで広がる適性に合った教育
くま:もう1個いじめじゃないけど学校に行きたくない場合の不登校があるそうで、これはコロナになって行かなくなったっていう子もいたりとか、あとはそもそも集団が苦手なのかな、みたいな話、要は子ども同士の問題はないってパターンがあると思うんですけど、こういう子どもがいた時って庄子先生はどういう対応してるんですか
庄子先生:学校は絶対行かなきゃいけないものじゃないという大前提を認めてあげることが大事かなって思っています。強引に行かせるほど不登校になったりしますんで、まずは行かないからダメな子なわけじゃないし、行かないからこの先の将来がダメっていうこともないんで、まず行かなくてもいいんだよって認めてあげることが最優先で大事だと思います。学校行かなくても今学ぶことはいくらでもしやすい時代だと思うので、まず親が焦らないことと、出来る限り寄り添ってあげるって事が大前提かなと思っています。
くま:そうですよね、親はやっぱり行かないとこれがずっと続くのかなって不安だったりとか、あと小学校の場合はよくあるのが勉強の時はどういう風にサポートすればいいかっていう話をよく聞くんですけど、これって今だとタブレットを使って勉強をやっていくっていう感じですかね。
庄子先生:今は学校の勉強よりタブレットで学んだ方が学習は分かりやすいと思いますね。まだまだ小学校って良くも悪くもですけど、全員が全員じゃないんですけど、5分で教えられることを45分に伸ばして授業をやっている授業がたくさん見られるんですけど、できる子もいればできない子もいるっていう2極化なのは昔から変わらないんですけど更に2極化だと思っていて、当然塾で習ってる子と習っていない子が同じ土俵で勉強している状態なわけで、それだったらできる子にはできるなりの課題を与え、できない子にはできない子になりの課題を与えるっていう事が大事だと思うんですね。
となると一斉に指導してることには限界があるんですよ。私もそうですけど、最初に少し確認して問いを投げたら後はもう自分たちで問題を解くのがいいのかな。自由進度学習っていう感じですけど、そんな感じで学習していくのが大事だなと思いますけど、まだまだ定着せずに割と全員がシーンとして早い子は早く終わってつまらない、できない子は相変わらず出来なくて分からないっていうような授業をやたら見るので、もう教える授業じゃなくて個々が主体的に学ぶ授業というものも目指していく必要があるなと教師目線では思います
くま:タブレットが入っていろいろ変わっていくものなんですかね。
庄子先生:変わると思いますね。
そもそも私が一生懸命頑張った授業よりも NHK の映像資料の方が目輝かせて見たりするんですよ。だから教師がどんなに頑張ってもさほど頑張らないでやった授業とどっちが上かっていわれると難しいなって思っています。
なので映像にはかなわないというか、アニメとか輝いてみるじゃないですか。私たちがおもしろいことを、親としておもしろいことをいうゲームをしたとしてもやっぱりテレビゲームやアニメにはかなわないので、そういうところで教師は真面目だからサボらずに教材研究して一生懸命黒板の計画立てて教えるんですけど、その授業よりも何の準備もしなくてNHKフォースクールひとつ見せた方が子どもにとっても学びになって教師としてもラクが出来るっていうのは山のようにあるんですけど。
くま:そうですよね、この前の1番最初の放送でどんな先生、未来の先生はどうあるべきかの話の時に教科書とにらめっこして考えるよりは、外に出ていろんな人と交流して、みたいな話ありましたけど、真面目に準備したらいい授業ができるという訳ではないんですね。
庄子先生:人間って準備すればするほど自分が学んだことを伝えたくなるんですよ。だから準備しなければしないほど、子どもと同じ目線でその教材を見て、「どう思う」って聞いて、意見が出たら「それすごいね、全然考えてなかった」って。それはそうですよね、教材準備あまりしてないから。「すごいね」って言いながら。でもうがった見方でちゃんと見る事ってすごい大事だと思っていて「これって変じゃないですか」「そうそう、そうだね」「でもそうじゃなくて先生これにはこういう意味があるんだ」「さすがだね」みたいなこと言って盛り上がることはしょっちゅうあるような気がしますね。
くま:どの教科でもそんな感じなんですか。
庄子先生:そうですね、でも明確に分けているのは、私は教える授業と共に考える授業を分けていて、読み書き計算は教えます。なので読むことって自主的に読めばいいんですけど、書くこと、漢字とか計算みたいなものはドリル的なものでどんどんプリント与えたりとかしてやらせますけど、それ以外に関しては基本的には問いを投げて一緒に考えて面白い原因を拾って盛り上げてみたいな、そっちで授業やっちゃいますね。
くま:かなり考えてるんですね、庄子先生ね。
庄子先生:考えてるって言うよりは自由を与えてるって感じですね
くま:そうなんだおもしろそう、授業が(笑)
庄子先生:さぼってる。
くま:でも先生は時間に余裕ができていいことだらけですよね。
庄子先生:そうですね、だからまずは問題意識としてあるのは授業を教えると子ども達ってひたすら聞いてるんですよね。あとは手をあげて発言しようとしても1/40が発言するだけなので、1日1回も発言しないで帰る子っているんですよ。
くま:そうですよね、確率的にはね。
庄子先生:それで教師一方的な授業をやっていると発言のチャンスって手を挙げた時しかないので、ずっと話さないで1日過ぎる子がいるんですけど、そうじゃなくてやってごらん、自由に友だちと相談してもいいよっていう状態にするとみんなわいわいがやがや喋るんですよ。もちろん関係ない話はいけないかもしれないけど、多少はいいと思うんですけど、喋ってる間にその子のことを知ったりとか知ることにもつながって、やっぱり学校って友達と学ぶ場だし、友達と関わり合う場なので授業中に関わる時間を増やすためには教師ができるだけ喋らないのがいいと思っていて、そういう環境を作れば不登校もなくなってくるんじゃないかなって思っています。
ちなみに私は1回も不登校の児童を自分で持ったことがない。別に私がすごいわけじゃなくて持ったことがないんですよ
くま:松山先生もこの間なんかそんな話をしてた気がして、なんかヒントがあるのかもしれないですね。あんまり言うとプレッシャーになっちゃうかもしれないけど、そうか、そうなんですね。
学校の存在が、学ぶのは家でも学べるから学校っていうのはディベートとかみんなでやることが大事だよってよく言うじゃないですか。まさに庄子先生の言ったことそのままですよね。
庄子先生:昔と違って情報が溢れてる時代なので、学校に行って情報を集める時代じゃないじゃないですか。
くま:そうか、お腹いっぱいってことなのね。
庄子先生:先生のちょっとしたちっちゃい情報を与えるよりも、よっぽど子どもの方が情報握ってますね。今6年担任ですけど受験生に私は勉強で勝てないと思いますね、確実に。だから6年やだって言ったりする先生いたりするんですけど知識で勝とうとしなくても威厳じゃないけど保てるというか、そこで勝負するんじゃないんだよなぁっていう。
暴れん坊が暴力をふるう背景に目を向ける ひとを変えようとする前に自分が変わる
くま:確かにね、なるほど。庄子先生もう一個難しい質問投げてみます。不登校でもう一個よくあるのが男の子が女の子ってパターンが多いんですけど、クラスで要は暴れん坊みたいな男の子がいて、女の子を叩くとか教科書破るとか意地悪するとかそういうことをする。先生に相談してなるべく止めるようにしてくれてて止まってるんだけども、やっぱりたまにそういうのが出てきちゃう。そうなると保護者としては「その親何してるの?親はどうなってんの」みたいなそういう心理になるようなんですね。これってやられてる方からしたら、「何なのあの親は」「何でちゃんと注意しないの」みたいな。
先生はちゃんとして注意してくれてる、でも直らない。でその子が行きたくないってなるという相談がたまにあるんですけど、これって難しいですね。どうしたらいいんでしょうかっていうか、ヒント、解決法はあるんでしょうか。
庄子先生:難しいですねというのは1つ目で、やられてるお母さんが相談されてくると思うので、ぜひやっているお子さんの親だったらっていう立場で考えていただきたくて、「自分の子がやっているとしたらもちろん厳しく注意します」ってよく言うんですけど、とはいえ厳しく注意したらやめるのかっていう話なんですよ。
くま:ここですよね。
庄子先生:大体そういう加害者の親というのは厳しく注意してますが、変わらなかったりするんですよね。実は厳しく注意することが大事なんじゃなくてその前の背景が大事で、最近感じるのはその親もそういう気質があったり、ちっちゃい頃そういうことがあったというのもあるので、その辺が難しいなって思います。
まず何の解決にもならないんですけどとりあえずみんなで見ていくっていうことと、相手の親にも言ってくれって先生にガンガン言うってことは、私はその子の親だったら嫌ですけど、すべきだと思っています。もちろん先生も注意してくれてるんですけど、やっぱり大ごとになると止むんですよね。相手の、やられてる方のお母さんから連絡があって、君の行動が悪いってことになると一時的には止むので。やっぱり先生が注意をしてるけれども止められないっていうパターンは私のクラスでも山のようにあるし、その場合、やっぱお母さんがガンガン言ってくれることってモンスターペアレンツで終わらせずに言うことで少し治まることは絶対にあるかなと思って。
後は担任の言うことを聞かなくなっているって事は十二分に考えられるんで、ちょっと親から大ごとにして管理職を巻き込んだりしていくこと。現場の教師とすると嫌なんですけど止めるために必要かなって思います。
くま:庄子先生は先生側からしたら嫌なこともいくつかあると思うんですよね。だけど立場があってもちゃんとアドバイスしてくれるんですね、ありがとうございます。
庄子先生:いえいえ。
くま:先生としたら嫌でしょうし、これすごく分かるんですけど、意外と親もどうしようって思って子どもに「叩いちゃダメだよ」とか言ってるんだけれども24時間ずっと子どものそばにいれるわけじゃないから、やっぱり人格が別なので子どもが叩いてしまう、みたいな。親自身も悩んでいるっていう事もたまにありますよね。やっぱ女の子の親だとわからないと思うんですけど、そういう男の子はいますよね。
庄子先生:よくやられてる方の親御さんは先生に言って大ごとにしてもらうでいいかなと思うんですけど、やってる方のお母さんお父さんは注意をする事じゃなくてやってしまっている背景に目を向けることがすごい大切ですね。短期的に「やるな」って言われてもやっちゃってる状況なんですよね。だからそれを「やるなやるな」って言っても子どもを追い詰めるだけなんで、それこそ抱きしめてあげたりそういう話と違うことの楽しみを一緒に見つけてあげるでもいいし、一緒に正門まで行ってあげるでもいいし、休日何か楽しいことをしたり美味しいもの食べるでもいいと思うんですけど、「やめなさいやめなさい」になると俺は悪い子だってなっちゃうんですよね。やっている親のケアも大事だなと思っていますね。私は一番にそこに手を入れますかね。
くま:確かにさっきも言ってた背景が大事。例えば宿題やらない子に対して何で宿題やらないのかじゃなくって背景をって前回も言ってたじゃないですか。そういうのと同じってことですよね、なんで殴るのっていうところをちゃんと突き詰めないと殴るなだと解決にならない。
庄子先生:人を変えようとするんじゃなくてまず自分を変えるとするの大事なことで、子どもを変えようとするならまずあなたが変わりなさいと言うのが大事だと思うので、やっている親はもちろん全部私のせいだとなる必要はないんですけど、人は変えられないから自分を変えることは何かないかってことですよね。やめさせるために大事なことは自分がちょっとでも長い時間帯笑顔でいるとか、その子のいいところを一日10個言うとか、我が子なんですけど、人を変えようとせずに自分を変えるようにアンテナを張ると少し好循環が生まれるかなと思います。
くま:今日からやれることですね、ありがとうございます。また次回も難しい質問を時間に投げようと思ってます。
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