#11【現役教師に聞く】普通ってなに?HSCは普通じゃないの? 庄子先生
stand.fmで配信中「くまゆうこの教育子育て相談室」
ITでいじめのサインを見逃さない 株式会社マモル代表 くまゆうこが日々の事業の活動から寄せられた相談や見えてきたこと、聞いてきたことをゲストの方と一緒に考える番組です。
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第11回は、HSCについて東京都の公立小学校で先生をしている庄子先生にお聞きしました。
※本記事は、2021年2月10日にstand.fmで配信を開始した番組を書き起こしたものです。
どんな診断を受けたって、誰もが幸せに生きる力も権利もある
くま:今まで質問で色々と聞いてお答えを頂きましたので、今日もまた聞いてみたいと思います。ということでHSCって、要はハイリーセンシティブチャイルドですかね。いろんなことに敏感な子供って言うんですかね、そういうお子さんが結構いるんじゃないかって言ってて、なんか5人に1人は今そうですよって。 Twitter で前にHSC診断なんてのがあったんですけど、私やったらねHSCでした。
【医師監修】繊細で敏感な子供「HSC」とは? 発達障害との違いは? | 医師が作る医療情報メディア【medicommi】
庄子先生:(笑)
くま:ということで、敏感なお子さんで敏感なのもいろいろあって、人の行動とか言葉が気になる敏感もあれば、本当にノイズ等にすごい敏感で耳栓しないとだめだとかそういう子さんもいるし、前たいち先生の時にも話したら給食の匂いがダメとかね、人のつばがかかるのはダメとかね、そういうお子さんがいますよって話なんですけど、やっぱり自分の子供がそうだと悩んでる保護者さんも多いんですけど、この HSCで何か庄司先生の中で自分がそうだでもいいんですけどエピソードとかあります?
庄子先生:誰でもそうなのかなと思いますけど、簡単な話で言うと音に敏感な子はすごいたくさんいますね。だから運動会の鉄砲の音が嫌いとかももちろんありますし、今コロナだから見えない菌に対して敏感になっちゃうっていうところもあるかもしれないですよね。
くま:ああ、そういうことですよね。
庄子先生:潔癖症みたいな感じになってしまったりとか。いろんな子がいるんじゃないかなと思いますけど、その中でも学校っていう中で我慢してるというか、大人も子供もそうだと思いますけどね。
くま:今みたいに刺激とか音とか、そうか私結構大きな音とか結構苦手ですよ。っていうか自分がどんどんそれにしていくのも良くないんですけど。あとね、共感する能力が高いってことで人の気持ちに寄り添いすぎちゃうっていう子もいるみたいなんですよね。寄り添うぐらいならいいけど、寄り添い過ぎちゃってあの一言が気になるとかそういうことがあったりとか、人との境界線が薄いらしくて他人の影響をすごい受けるとか、他人のネガティブな気持ちとか感情を受け取りやすいとかね、そういうお子さんがいて、そういうのっていじめ問題に密接に繋がってるなと思っててですね。
庄子先生:うん。
くま:例えば自分がいじめられてると思って、実はそうでもない。
庄子先生:うん。
くま:そうでもないと言うといけないね。
庄子先生:うん。
くま:でもちょっと敏感に受け取り過ぎちゃってる子どもっていると思うんですよね、こういうのって小学生だと「ああ、あのことだな」って思うことありますよね。
庄子先生:そうですね、山のようにあるんじゃないですか。
くま:その子供が自分が敏感に感じるタイプだなって認識したら少しは楽になりますかね。
庄子先生:うーん、まず子供の立場で言うと、人と違うってことを認識するのって高学年ぐらいだったりするし、逆に違うってことに気付いて悩んだりするんですけど、世間が狭いのでとにかく自分にそういう感情があることを普通じゃないと思わないことが大事かな。
くま:逆に。
庄子先生:誰もがみんな違うわけですよ、みんな違ってみんないいって小学校でも言ってるはずなのに、私は敏感だってなりますけど、その敏感って人と比べて敏感なんですよね。だからもしかしたらみんな敏感かもしれないけど、私だけ敏感かなって思ってるだけかもしれないし、皆平等というこの文化をどうにかしていかないと、得意不得意があっていいし、敏感鈍感があっていいし、それを含めて私だって理解することができるといいし、まあ小学校の段階ではできなくてもいいんですけど、自分は自分であっていいっていうところに気づけるような、教師であり親なりがアナウンスしてことが大事なんだと思います。親としてみると、「うちの子敏感かな」となりがちだと思うんですけど、まずは「人は人、よそはよそ、自分は自分」みたいなところがありますので自分の子だけに焦点を当てすぎないこと。子どもがいろいろ言ってくると思うんですよね、学校でこんなことがあってって敏感だからこそ。その考えは受け容れてあげるし、あなたの味方だって伝えるけど、親としてはそれを話半分で聞くってことがとても大切かなって思ってます。
くま:大体お母さんがうちの子HSCなんですって前置きで話される方が多いんですよ。あんまり思い込みで話しちゃうと、またそれはそれで支障があるよって話ですよね。
庄子先生:そうですね。くまさんが言うように私もHSCかもしれないし、私も自閉症かもしれないし、私も ADHD かもしれないですけど、でも別に人生幸せに生きている人はいっぱいいるわけで、それってまず決めつけない方がいいし、決めつけると病気みたいな感じがしちゃいますよね。じゃなくって誰もが例えその診断を受けたって幸せに生きる力もあるし、幸せに生きる権利もあるわけですけど、私がHSCかHSCじゃないかにこだわる必要は一切ない。
くま:そうなんですよ、HSCのこれ一回ニュースになったんですよね、5人に1人がみたいな。その時にいろんなところの書き込みで「私もHSCなんです」みたいな書き込みがものすごいあったんです。だから人って少なからず人のこと気になるし、何かしら敏感なんですよね。
庄子先生:鈍感すぎても問題だって言ってまた問題にするだけなので、そうするとみんな鈍感でもない敏感でもない人にしたいのかと言うとそんなことなくて、みんなでこぼこがあってこそいいと思うので、HSCの人がみんな幸せになれないんだったらそれはちょっと考えなきゃいけないけど、HSCだからこそ幸せになれることだって絶対あると思うので、あんまりHSCかHSCじゃないかということにこだわらずに、自分が幸せに生きる、もしくは自分の子供が幸せに生きるためにどうすればいいかっていう観点で考えられるといいかなと思います
くま:そうですね、だから保護者の方もあまり深くそこを悩まなくてもいいんだよってことですね。
庄子先生:そうですね。
くま:ただ一方でちょっとした敏感なこともあって不登校につながるんですけど、学校に行けないみたいな子もいるみたいなんです。そういう時の声かけとしてはあまり過剰にしない方がいいって感じなんですかね。
庄子先生:そうですね、まずは否定しないってことも大事なのだと思ってます。「学校に行かないってことは普通じゃないんだよ」って言っちゃう方って結構いるんですけど、普通って何って話になってくるので、「今はそういう気持ちだから学校は無理して行かなくていいよ」って言うこと聞いても「みんなが勉強してるんだからやることやらなきゃいけないよ」ってことを伝えていかなきゃいけないんですけど出来る限り見守ってあげるといいですね。子どもがどうのこうのって言ってるうちに、実は親が一番被害を受けてダメージ受けてたりするので、まずお父さんお母さんがうちの子はうちの子で私と人格が違うってことがまず大事。子どもがダメだとどうしても自己否定されてる気になっちゃうんですよね。
くま:自分の子どもがダメだと自分の育て方がってことですよね。
庄子先生:そうです。だから自分の親や夫のお母さんからとか「(学校に)行ってないってことは子育て方が悪かった」みたいなことを言われないにしても自分で思っちゃったりしがちで自分を責めてしまうんですけど、お母さんが笑顔じゃないとますます子供達も笑顔じゃなくなっちゃいますね。だから行かないとかうちの子がダメだとか学校行けてないとかHSCとか、そんな事は全くその子の将来にとって関係ないことなので、お父さんお母さんがとにかく幸せでいることがとても大切だなあと思います。
やんちゃもしていた?庄子先生の子ども時代
くま:やっぱりお母さんの方がっていうか、同じぐらい深刻に悩んで相談に来ますもんね。庄子先生は小さい頃どんな子供だったんですか?こんな感じだったんですか、淡々と。
庄子先生:あんまり言いたくないですけど、そうですね、割と小中は優等生でしたね。
くま:なんか優等生っぽいですもんね。
庄子先生:高校生の時が全然できなくて、この経験があったから今があるんだなぁと思って、ずっと優等生で行かなくて良かったなと思うところが結構あって。
くま:挫折?
庄子先生:はい、高校は全然挫折で。高校は自分の地域の中ではトップ校に行かせてもらったんですけど、そこまではその高校に行くのが当たり前みたいな地域の期待みたいなのがあって、そんな感じで行きましたけどそこに行ったら下の下レベル、勉強できなくて、そこで結構悪いことというか授業受けなかったりとか、結構いろいろやんちゃもしたのが自分にとってはよかったかなと思いつつも、高校3年間本当苦しかったなって未だに思います。
くま:下を経験してるからこそっていうのありますね。もしずっと庄子先生が優等生優等生で来ちゃって先生になってたら、分からないわけじゃないですか。
庄子先生:そうですね、またちょっと違うかもしれません。
くま:じゃ、よかったってことですよね。
庄子先生:うーん、つらかったですけどね(笑)
くま:挫折は若い頃に知ったほうがいいよってよく言うじゃないですか。小学校の先生やってて、やっぱりそう思います?
庄子先生:まさに。でも見方の問題で、何を持って挫折とするかって人と比べてるから挫折と考えるだけなんですよね。だから実は挫折のタネっていっぱいあると思うんですけど、人は失敗談で心が響いたり寄り添えたりするんで、やっぱり失敗はネタなんですよね。
くま:なるほどね。
庄子先生:だから子供達と話してる中で「こんなことがあってさ」って言うと子どもは食いつきますよね。先生もくだらないエピソードや失敗で聞くと。ということはやっぱ失敗を探さないといけないなと思うので、そのために私たちはチャレンジし続けなきゃいけないんだと思うんですよね。チャレンジすれば成功も失敗もあるので、その失敗談をしっかりネタにしておくというか、そういうことはかなり意識してると思います。
くま:失敗した時に「もういいや、これネタにしよう」ってね(笑)
庄子先生:そうですね、それをちょっと尾ひれつけて子供にしゃべると受けるっていう。
くま:そうやって思うと失敗も「いいや1個ネタが増えた」みたいになるし、チャレンジしたら失敗しますからね。だけどチャレンジすることが楽しいですからね。
庄子先生:そうですね、でも教員は意外とチャレンジしない種類の人なのでチャレンジしていくことが大切ですね。
くま:そっか、チャレンジしたらやっぱり失敗するからって言ってしない先生多いと思うんですよね。その時っていろんな失敗があると思うんですけど、その失敗も責められないような学校であればより良いんですかね。
庄子先生:そうですね、失敗を責めない学校。そうですね、なかなか難しいですけどね、チャレンジしていい空間でチャレンジしてる。まあとにかく、もちろんみんなと違うことをやることは良くないのかもしれないけど、オープンにどんどん挑戦していくことは大事かなと思っています。その中でやるとやっぱり怒られることってあるんですけど、教員って真面目だから怒られることはやらないっていうスタンスが結構あるんですけど、怒られるか怒られないかギリギリのラインは結構攻めますね。
くま:庄子先生はかなりギリギリのラインを攻めますよね。
庄子先生:うーん、やっぱ怒られないようにやってると、多分日本は変わらないですね。
くま:そうか、庄子先生は怒られる覚悟でやっているわけですね。
庄子先生:んー、職を辞する覚悟を持ちながらやってます。
くま:ほおー、武士みたいですね。
庄子先生:いやいやいや、こないだ2000人集まったイベントの公立学校の3人はその覚悟で、統一してしゃべってます。
1900人超え!学校再開直前!6月からの授業のあり方 〜withコロナ時代の対話的な学習とは〜
くま:そうですよね。
庄子先生:逆に言うとそのぐらいしゃべれないってことです。
くま:そうか、本当はね、しゃべっちゃいけないってことですよね。
ありがとうございます、ここ出てくれて(笑)
庄子先生:そうです。
くま:私もいろいろなこと聞きながら、どこまで話してもらえるかなと思いながらなんですが、いっぱい話してくれるんでありがとうございます。なかなか貴重な話ですよね。子育てみたいな話で聞いてますけど、全体的に生き方みたいな話ですよね。前回の自分が変わればいいっていう話もそうだし、今回のチャレンジの話もそうだし、失敗の話とかもそうだしね。あと人と比べないとか、難しいですね、人と比べないって。
庄子先生:そうですね、子どもだからできないってことは少ないと思うんですよね。むしろ子どもだからできるけど、大人だからできないことの方が多いと思っていて。でもみんな子どもだったはずだから大人もできるんだと思うんですけど、なんかどうしても大人とか教師って未熟な子どもに教えたがるんですけど、そうじゃなくて子どもから学ぶっていう、子ども心を思い出させる、いや自分が思い出す。自分が子どもから見て学ぶスタンスが日本中に教師だけに限らず出てくると、もっと教師がチャレンジする、というか日本中の大人がチャレンジする文化ができるんじゃないかなっていう風に思います。
くま:そうですね、先生(笑)先生とか言っちゃった(笑)いつも庄司さんて言ってるのに先生とか言っちゃいましたよ(笑)
受け止め方や捉え方の変化でいじめを減らす方向に
くま:あと私がやってる事業は子供が開いているいじめのサインを見逃さないってことでやってるんですけども、いじめについて、どうやったら減ると思いますか。
庄子先生:そうですね、いじめ自体はなくならないと思うんですけど、いじめの捉え方というか、いじめの定義はいじめられてると思ったらいじめなのかもしれないんですけど、当然だけどぶつかり合いとか嫌がらせとかいじりとかっていうものは永久になくならないと思うんですけれども。
くま:そうですね。
庄子先生:逆になかったらそれはそれで希薄で不自然だと思いますけど、あった時にそれをいじめだって言って暗くなったりせずにやるような世の中を作れるかなと思うので。
くま:いじめのサインを見逃さないみたいな言い方をしてるんですけど、いじめをなくすという言い方をしてないのがまさにそういうことで、人がいるといろんな事も来ると思うんですけど、受け止め方とか考え方とかそういうところが変わってくるって感じですかね。
庄子先生:関係が深くなればなるほどいじめっぽくなりがちだし、関係が薄ければ薄いほどならないんですよね。だから前もどっかで話したけど4月はならないんだけど後半になるとなるってのはそういうことが十二分にあって、だからといって深い関係を作るのも学校の良さであると思って、その中でいじめっぽいことが生まれた時に初期対応をしっかりして、みんながハッピーになれるような学級なり学校なり日本を作っていければいいんじゃないかなって思います。
くま:それは頑張りましょうよ庄子先生、一緒に。
庄子先生:ぜひぜひ、どこかでご協力いただければと思います。
くま:これを聞いていただいた方も「本当そうだよ」って思っていただけたらいいですね。仲間が増えるし。
庄子先生:そうですね。
くま:かなり深い話をさせてもらいましたけれども、また来てください
庄子先生:はい、ぜひいつでもお願いします。
くま:庄司先生の方は働き方の本とかいろいろな分野で出されているので、是非ちょっと読んでみていただけたらと思います。私たちが昔書いた「withコロナ時代の授業のあり方」っていう本もありますしね。
庄子先生:相変わらず売れてるみたいですね。
くま:そうなんですか。
庄子先生:今明治図書ランキング70位くらいで、年間100冊出している明治図書でずっと残ってるのはすごいですね
くま:知らなかった。興味ある方は是非。
庄子先生:あと聞いていただいてつながってくださる方はフェイスブックで僕の名前調べて申請いただければ Facebookでもつながれると思います。いつでもつながれると思います。
くま:庄子寛之先生でした、ありがとうございました。
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