2026年7月27日

「友達だから安心」は本当? 位置情報共有アプリが人間関係に与える影響

【情報リテラシーコラム Vol.5】

こんにちは。株式会社マモル代表のくまゆうこです。

前回のコラムでは、位置情報共有アプリが若い世代を中心に広がっている背景や、その便利さについてご紹介しました。

「今どこ?」

そんなメッセージを送らなくても、お互いの現在地が分かることは、待ち合わせや家族の見守りなど、さまざまな場面で役立ちます。

一方で、情報リテラシーの講演では、保護者の方からこんな声をいただくことがあります。

「友達同士で位置情報を共有するのが当たり前になっているようですが、それって本当に大丈夫なのでしょうか。」

この質問に対して、私は「位置情報共有アプリそのものが危険なのではありません」とお伝えしています。

ただし、位置情報を共有することで、人間関係がこれまでとは少し違った形になることは知っておく必要があります。

今回は、「友達だから安心」という気持ちの中で起こりやすい変化について考えてみたいと思います。

「今どこ?」が聞かれなくなった時代

少し前までは、友達との待ち合わせでは、

「着いた?」

「あと何分?」

「どこにいる?」

そんなやり取りが当たり前でした。

ところが位置情報共有アプリでは、メッセージを送らなくても、お互いのおおよその居場所が分かります。

「もう駅に着いているね。」

「まだ家を出ていないみたい。」

「近くにいるなら合流しよう。」

こうしたやり取りが自然にできることは、大きな魅力です。

しかし、「便利」は時として、「見えてしまうことが当たり前」という感覚にもつながります。

「見えること」がプレッシャーになることも

例えば、休日。

「今日は家でゆっくりしたい。」

そう思っていても、位置情報から「近くにいるなら遊ぼうよ」と誘われることがあります。

あるいは、

「今日は出かけない」と話していたのに、実際には別の場所へ行っていたことが分かってしまい、気まずい思いをすることもあるかもしれません。

位置情報共有アプリは便利な反面、「説明しなくても分かる」からこそ、説明しづらくなる場面が生まれることがあります。

もちろん、多くの場合は友人同士の何気ないやり取りです。

しかし、「常に居場所が分かること」が心理的な負担になる人もいることを知っておくことは大切です。

「共有しない」という選択もしにくくなる

若い世代の間では、「みんなが使っているから」という理由で位置情報共有を始めるケースも少なくありません。

すると、

「なんで共有しないの?」

「何か隠しているの?」

そんな雰囲気になってしまうこともあります。

本来、位置情報を共有するかどうかは、一人ひとりが自由に選べるものです。

共有したい人がいれば、共有したくない人もいます。

その選択は、どちらも尊重されるべきです。

情報リテラシーとは、アプリの使い方を知ることだけではありません。

「共有しない」という相手の考えを受け入れることも、情報リテラシーの一つだと私は考えています。

保護者が知っておきたいこと

保護者の方から、「位置情報共有アプリをやめさせた方がいいですか」と相談されることがあります。

しかし、私はすぐに「やめさせましょう」とはお答えしません。

まずは、お子さんに聞いてみてほしいのです。

「どうして使っているの?」

「何が便利なの?」

「誰と共有しているの?」

大人が思っている以上に、子どもたちは「友達との待ち合わせが楽だから」「部活動が終わる時間を伝えやすいから」といった理由で利用していることがあります。

一方で、「みんなが使っているから断れなかった」という声が聞かれることもあります。

だからこそ、「使ってはいけない」という一方的なルールではなく、家庭で話し合うことが大切です。

家庭で話し合っておきたい3つのこと

位置情報共有アプリを利用するなら、ぜひ親子で次のようなことを話し合ってみてください。

① 共有する相手を定期的に見直す

「一度設定したら終わり」ではありません。

学年が変わったり、人間関係が変化したりしたときには、「今も共有する必要がある相手なのか」を見直す習慣をつけましょう。

② 「共有したくない日」があってもよいことを確認する

家族との時間を過ごしたい日や、一人でゆっくりしたい日もあります。

毎日共有しなければならないものではないことを、親子で確認しておくと安心です。

③ 困ったときは相談できる約束をしておく

「共有をやめたいけれど言い出せない。」

「友達との関係で悩んでいる。」

そんなときに、安心して相談できる家庭の雰囲気をつくっておくことが何より大切です。

情報リテラシーは「相手を思いやる力」

情報リテラシーというと、「危険を避ける知識」のように思われることがあります。

もちろん、それも大切です。

しかし私は、それだけではないと考えています。

「共有したくない」という相手の気持ちを尊重すること。

「見えるから聞かなくていい」ではなく、言葉でコミュニケーションを取ること。

便利な機能があるからこそ、人との距離感を大切にすること。

こうした思いやりも、これからのデジタル社会に必要な情報リテラシーではないでしょうか。

今日のリテラシーポイント

「共有できること」と「共有しなければならないこと」は違います。

位置情報を共有するかどうかは、一人ひとりが選べるものです。相手の選択を尊重することも、大切な情報リテラシーです。

株式会社マモルでは情報リテラシー講演を実施しています

株式会社マモルでは、小学校・中学校・高校・大学、PTA、自治体、企業を対象に、情報リテラシーやSNS・デジタルサービスの安全な活用に関する講演・研修を実施しています。

位置情報共有アプリやSNSは、便利な一方で、人間関係やコミュニケーションのあり方にも影響を与えています。

講演では、単に危険性を伝えるのではなく、「どうすれば安全に、安心して活用できるか」という視点で、実際の事例を交えながら分かりやすくお伝えしています。

講演や研修をご検討の際は、ぜひお気軽に株式会社マモルまでお問い合わせください。

次回予告

位置情報共有アプリは、「今どこにいるか」が分かる便利なサービスです。

しかし、位置情報は現在地だけではありません。毎日の積み重ねによって、その人の生活や行動パターンまで見えてくることがあります。

次回は、「位置情報は“個人情報”です 便利さの裏側にあるプライバシーと情報リテラシー」をテーマに、位置情報が持つ情報の価値と、私たちが知っておきたいプライバシーについて考えます。

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